スモールラインナップの真価が問われるシーズンに
デマー・デローザン、ロンゾ・ボールらを獲得したブルズは一気にプレーオフチームになりましたが、シーズン前半に稼いだ貯金でなんとかした印象も強く、オールスター以降は8勝15敗と苦労しました。ケガ人の多さが最大の問題だったものの、新シーズンは他のチームからの警戒が強まってもシーズンを戦い抜ける強さを持っているのかが問われることになります。
契約延長したザック・ラビーンとデローザンの得点力は疑いようもなく、また仕事量が多いニコラ・ブーチェビッチのバックアップセンターにアンドレ・ドラモンドを獲得し、安定感が増しました。中心選手は変わらず活躍してくれそうですが、ロンゾはケガでプレシーズンを欠場しており、アレックス・カルーソも含めてガード陣のケガの多さは悩みの種です。
それでも成長著しいアヨ・ドスンムだけでなく、トレードの噂があったコービー・ホワイトを残留させ、フリーエージェントでゴラン・ドラギッチを加えたことで、離脱者が出てもカバーできる選手層を作りました。その一方でウイングはドラフト18位のデイレン・テリーくらいしか補強できておらず、ロスターはガードとセンターばかりの構成になっています。
ハードワークを重視するヘッドコーチのビリー・ドノバンらしく、サイズのデメリットを感じさせないディフェンスを見せるものの、リバウンドを取り切れません。ハンドラーが多いオフェンスはオフボールが怪しく、リーグ最少の3ポイントシュートアテンプトになるなど、スモールラインナップのメリットを生かしているとは言い難いものがあります。これらの弱点は対戦相手にも知れ渡っており、ウイング不足の中で修正されているのか注目されます。
昨シーズンのブルズはヒート、バックス、シクサーズに全敗し、セルティックスには1勝2敗と東カンファレンスの上位チームには歯が立ちませんでした。下位チームからの取りこぼしが少なかったことは勝率を上げるうえで重要な事でしたが、同じ形で戦ってはプレーオフで勝てるチームへとステップアップすることはできません。昨シーズンに成功したからこそ、さらなる上積みを目指し、自分たちを変えることが重要になる新シーズンです。