将来のエースを担う若手獲得も、抱える課題は山積み
ラッセル・ウェストブルックを放出してから指名権を集めることに余念がなかったサンダーですが、今オフは未来の指名権を対価にしたトレードも実行し、ドラフト1巡目でチェット・ホルムグレン、ジェイリン・ウィリアムズ、ウスマン・ジェンの3人を指名しました。昨シーズンのジョシュ・ギディーに続き、核となる若手を揃えて前に進むフェーズに入ったかと思われましたが、トレーニングキャンプ前にホルムグレンのシーズン全休が決まり、なかなか難しい位置づけのシーズンになりそうです。
シェイ・ギルジャス・アレクサンダーやルーゲンツ・ドートを中心にした若きサンダーは、伝統のハードワークにシンプルなドライブ&キックアウトのオフェンスによって、個人が躍動します。ドラフト外の加入でも戦力に成り上がれるチーム内競争もあり、良い若手を多く抱えていますが、それ故にロスター枠からあふれ出るほどに選手が多くなっています。そんな状況にもかかわらず、ビッグマンだけは極めて層が薄く、これまで以上にオールラウンダーを並べたポジションレスの戦いを突き詰めていくことになります。
ガードのギディがチームのリバウンドリーダーになったように、オールラウンドに振る舞える選手をチームは好んでおり、契約延長したケンリッチ・ウィリアムズや2年目のアーロン・ウィギンズとジェレマイア・ロビンソン・アールなど、チームの志向に沿った選手は揃ってきました。誰もがガードであり、ウイングであり、センターでもあるサンダーの戦術は現代的ではあるものの、本当にこれで勝てるチームへと成長するのか不安もあります。そこにオールラウンダーのビッグマンであるホルムグレンが加わって、どんな化学反応が起きるのかはチーム作りの上でも重要なポイントでしたが、1年は先延ばしになってしまいました。
またカットプレーや速攻などはラインナップの割には少なく、リーグ最下位の3ポイントシュート成功率など、改善すべきポイントも山積みです。チームとしての未完成感が強く、若手の成長を重視していると言っても、チーム全体が正しい方向に進んでいると確信を持ち切れないのも事実なだけに、そろそろ結果も欲しくなってきました。個人レベルでもチームレベルでも、明確な成長を感じたい新シーズンです。