シーホース三河

文=鈴木健一郎 写真=B.LEAGUE

ビッグラインナップを圧力を掛けて主導権を握る

シーホース三河がウィングアリーナ刈谷に富山グラウジーズを迎えた第2戦、前日に続き攻守が噛み合った三河が富山を退け、開幕5連敗から一転しての連勝を7に伸ばした。

立ち上がりは両チームともディフェンスを強調し、満足なシュートの形を作らせずに開始4分で三河の3-2と重い展開に。それでもここから金丸晃輔が2本の3ポイントシュートを含む3連続得点、たまらず富山がタイムアウトを取るも、今度は桜木ジェイアールがインサイドを突いて得点。ここで一気に流れを引き寄せるべく、三河は先発の加藤寿一に代えてジェームズ・サザランドを投入し、アイザック・バッツ、桜木との『実質オン3』に。これで富山の攻め手を潰し、サザランドの速攻からのダンクが飛び出し、最後は金丸がミドルシュートをねじ込んで18-11で第1クォーターを終えた。

それでも第2クォーターは富山が流れを引き戻す。船生誠也と阿部友和の連続3ポイントシュートでスタートすると、少しでも間を空けたらシュートを決めてしまう絶好調の金丸に対し、一瞬も隙を作らないタイトなディフェンスで沈黙させる。本来なら攻めの核になるジョシュア・スミスが三河のオン3に対して、ベテランの山田大治とともに守備で奮戦。レオ・ライオンズのセカンドチャンスポイント、船生の速攻が立て続けに決まり24-21とリードを奪った。

ここで三河はオン3を止めて桜木とサザランドのインサイドへと切り替える。富山はこれに合わせてスミスを休ませるが、ライオンズと山田のインサイドでは三河を止められなかった。サザランドが自由自在のアタックで連続得点、37-30と一気に突き放して前半を折り返した。

シーホース三河

金丸は連日の30得点超え「気持ち良かったです」

迎えた後半、富山は第2クォーターに細心の注意を払って抑えた金丸を再び自由にしてしまう。第3クォーター残り7分半、久々にフリーで打てるチャンスを逃さず3ポイントシュートを沈めた金丸は、残り4分半から2ポゼッション連続で3ポイントシュートを決め、その直後にはバッツのイージーシュートをアシスト。桜木のゴール下の得点を挟み、また2本連続で3ポイントシュートを沈める大当たり。このクォーター5本の3ポイントシュート成功、そのうち4本は狩俣昌也のアシストであることも見逃せない。富山が警戒しているにもかかわらず、チームとして金丸をフリーにし、そこを逃さずボールを託す。対する富山は追い付こうと慌ててしまい、自らタフショットを選んで自滅。三河は狩俣が3ポイントシュートで29得点のビッグクォーターを締めた。

66-49で始まった最終クォーターも気を緩めることなく、オフィシャルタイムアウト直前にバッツが速攻からダンクをブチ込んで勝負アリ。三河が91-72と完勝している。

鈴木貴美一ヘッドコーチは開幕から5連敗を喫した時期を「それぞれが自分で何とかしようと個人技に走っていた。今はスタッツを見てもアシストが多く、パスを回している。我々は過去にたくさん勝っているチーム」と振り返る。「5連敗は良い刺激になった。勝ったことがないチームには勝ちが薬になるが、勝っているチームは負けが薬になる」とチームの成長を語った。

昨日は3ポイントシュート8本を決めて31得点を挙げた金丸は、今日は同じく3ポイントシュートを8本を決めて33得点。「気持ち良かったです」と笑顔を見せつつも、「チームでうまくチャンスを作ってくれたおかげ。僕はスクリーンを使ってオープンになり、もらったチャンスに打っているだけです」と、あくまでチームオフェンスの仕上げを担ったことを強調した。

一方、敗れた富山のドナルド・ベックヘッドコーチは、「三河のビッグラインナップに対抗できるのはリーグにも数チームしかいない。それは帰化選手がいるチーム」と、今シーズンから導入された外国籍選手の起用ルールに頭を抱える。富山はこれで7勝5敗。5敗のうち3つは三河相手に喫したもので、同じ中地区で苦手意識を持つことは今後を考えると厳しいところ。プレーオフに進出するチームになるために、クリアしなければならない課題に直面している。