デマーカス・カズンズ

「たくさんの間違いを犯したけど、その失敗から学んだ」

デマーカス・カズンズは32歳になり、所属チームがないまま開幕の時期を迎えている。2010年にキングスでデビューした彼はキャリア7年目にペリカンズに移籍。アンソニー・デイビスとのツインタワーは大きな評判となったが、ほどなくしてアキレス腱断裂の大ケガを負い、ここから彼のキャリアは暗転した。

この重傷を負った2018年1月、彼はSNSに「このケガを必ず乗り越え、自分の力を証明してみせる」と投稿したが、彼が乗り越えなければいけないケガは他にも続いた。ケガを治して2018-19シーズンにウォリアーズと契約を結ぶも、自身初のプレーオフに入ったところで左大腿四頭筋を断裂。その年のオフ、自主トレ中に今度は左膝前十字靭帯断裂の重傷を負った。

ペリカンズではマックス額での契約延長が確実視されていたが、アキレス腱断裂でそれが流れ、2018年夏にはどのチームからもオファーがない屈辱を味わった。ウォリアーズでは最低保障額での1年契約でプレーし、これで自身の価値を高めて出直すはずが、またしてもケガに見舞われた。ここ2シーズンはロケッツ、クリッパーズ、バックス、ナゲッツを渡り歩いたが、彼本来のパワフルなプレーは影を潜めたままで、今オフもここまでオファーがない。

今のカズンズは何のケガもなく、オフを通じてトレーニングを続けているそうだ。それでもオファーが届かないのは、技術的な面と素行の面の両方で彼に悪いイメージがあるからだろう。

『Yahoo! Sports』の取材に応じたカズンズは、「僕には間違いもあっただろうけど、それよりも多くの正しいことをやってきたつもりだ。僕はただ、プレーヤーとしての成長を示す機会が欲しいだけなんだ」と心境を語る。

カズンズは勝利を誰よりも強く求めるハートの強さがあり、チームメートに愛される男だが、感情が行きすぎてテクニカルファウルを受けることも多い。そしてキングス時代にフロントやヘッドコーチ批判を繰り返し、絶対的なエースであるにもかかわらず問題児としてトレードの噂が絶えなかった印象は今も残っている。

「それは僕の本当の姿じゃない」とカズンズは釈明する。「確かにサクラメントにいた頃の僕はまだ若造で、多くのことに無知だったけど、たくさんの間違いを犯して、失敗から学んだ。コーチと関係を築けない選手と見なされるのは心外だよ。僕はジョン・カリパリ(ケンタッキー大)の下でプレーした。今の僕がどんな選手なのか、スティーブ・カーやマイケル・マローンに聞いてほしい」

「自分が若い頃のような『チームの顔』じゃないのは理解しているよ。今の僕はNBAのビジネスを理解し、それを受け入れている。だから、どんな役割を与えられても、喜んで自分のベストを尽くす。もちろんプレーヤーとして常に上を目指すけど、先発にしてもベンチから出るにしても、あるいはベンチの一番端からチームを応援することであっても、僕はチームの勝利に必要なことは何でもやるつもりだ」

「悪い噂を鵜呑みにせず、本当の僕を知ってもらいたい。僕は良きチームメートになれる。このリーグで多くの経験を持ち、若い選手に伝えられる。僕はいつもロッカールームの兄貴分だった。試合でもテクニカルファウルとか、そういう悪い面が強調されることはもうないよ。それは公平な評価ではないと思う」

どんな形であれ、まだ自分がNBAでプレーできると信じているカズンズの悲痛な叫びは、どこかのクラブに届くのだろうか。「NBAに戻ることは、僕にとって世界のすべてだ」と彼は言う。「ケガをきっかけに様々な困難に直面したけど、100%の状態を取り戻せるよう努力してきた。自分の力を発揮する機会が僕の望みだ」