ボル・ボル

ジョナサン・アイザックは練習参加も復帰時期は未定

マジックは2009-10シーズンを最後に成功から遠ざかっている。この12シーズンでプレーオフには4度進んだものの、5勝を挙げたのみですべてファーストラウンド敗退。ドラフトで有望な選手を毎年のように加えているが、再建はいつまでたっても終わらない感がある。

NBAドラフト全体1位指名のパオロ・バンケロが加わったが、チームの前評判はさして高くない。その大きな要因がケガ人の続出だ。ギャリー・ハリスが左膝半月板断裂の重傷を負い、マーケル・フルツは爪先を骨折。ジョナサン・アイザックはチーム始動の日に「状態は悪くない。トンネルの先に光が見えている」と明るい表情で語ったものの、1年前のチーム始動の日もそうだった。

「今は走って跳んで、1対1の練習ができている。すべての動きをこれからコンスタントにできるようにならなきゃいけないけど、僕自身はもう大丈夫だと思っている。何日も続けて激しい練習をしても大丈夫なのか、調子を見ながら休みを取るのか。まだゲームスピードでの練習はしていないけど、これから対応していくのが楽しみなんだ」

アイザックの状態は「今は走って跳んで、1対1の練習ができている」ものの、いまだ強度の高い練習や5対5には参加できておらず、左膝前十字靭帯断裂で直近の2シーズンを全休している彼の復帰にクラブ側は慎重だ。

コール・アンソニーとジェイレン・サッグスのバックコートは悪くないし、フランツ・ワグナーとバンケロのウイング陣も期待できる。しかしケガ人が多いことでの選手層の課題を解決しないことには、チームの浮上はない。

そんな中、チーム内の評価が高いのがボル・ボルだ。マヌート・ボルの息子で身長219cm、ウイングスパンは234cmある彼はナゲッツに3シーズン所属したものの出場機会をほとんど得られなかった。サイズは魅力的だしシュートレンジも広いのだが、ニコラ・ヨキッチの控えとしてはパワー不足で、ナゲッツのスタイルにフィットしなかった。昨シーズン途中にピストンズにトレードされたがメディカルチェックで移籍は破談に。その後、セルティックスを経てマジックと契約したものの、右足を手術してプレーはしていない。

それでも、ボル・ボルはケガを完治させてマジックに合流した。「この夏はケガの影響もなくしっかりトレーニングできた。このトレーニングキャンプでもすべての練習に参加できている。これからチームのことを学ばなきゃいけないけど、自分にできるリバウンドやブロックショット、フロアを広げること、シュートとドリブルでチームに貢献したい」

彼はマジックの環境と雰囲気が大いに気に入ったようだ。「僕にチャンスをくれて感謝しかない。みんな年齢が近くて、兄弟みたいな関係だ。お互いに成長を助け合ってプレーするのは、ちょっと学生時代を思い出すよ。みんなの関係が近くて、家族みたいな雰囲気なのは良いことさ」

トレーニングキャンプでのボル・ボルのパフォーマンスは、同じセンターのウェンデル・カーターJr.やモー・バンバから絶賛されている。上位指名が予想されながら44番目まで名前が呼ばれなかった2019年のNBAドラフトからボル・ボルには逆風ばかりが吹いたが、今シーズンはその流れが変わるかもしれない。まだ22歳の『未完の大器』に、やり直す時間は十分にある。