ロレンツォ・ブラウン

「だからこそ、金メダルを勝ち取ることができたんだ」

ユーロバスケットの大会ベスト5が発表された。ヤニス・アデトクンボ、ルディ・ゴベア、デニス・シュルーダー、そして優勝したスペインからはビリー・エルナンゴメスとロレンツォ・ブラウンが選出された。

MVPにはビリー・エルナンゴメスが選ばれたが、それはチームの屋台骨を支える貢献も含まれており、プレーの面だけを見ればスペインの優勝に最も直接的に関与したのはブラウンだという声も多い。ポイントガードとして、相手ディフェンスの出方を見て多彩なプレーで得点するスペインのオフェンスを牽引したブラウンは、スペイン代表に不可欠な戦力となっていた。

そのブラウンには大会前から多くの批判が向けられていた。それは彼がアメリカのジョージア州で生まれで、ヨーロッパでのプレー経験は長くてもセルビア、トルコ、ロシア、イスラエルのクラブに所属しており、スペインでのプレー経験がないにもかかわらず、帰化選手として代表に加わったからだ。

スペインで暮らしたことがなく、スペイン語も話せない彼への風当たりは強かった。感情論に偏りがちなメディアやファンだけでなく、スペインの選手会も彼が代表に加わることに反対した。

だが、ブラウンは批判に向き合うことなくプレーに集中してきた。そしてユーロバスケット優勝という最高の結果を出した後、「僕は多くの批判を受けた。言葉の壁だとか国の問題だとか……」と口を開いた。「でも結局のところ、僕らは同じ言葉で話している。肌の色も出身地も関係なく、全員が兄弟だった。だからこそ、金メダルを勝ち取ることができたんだ」

スペイン語は使えない。記者から「優勝を決めた後のロッカールームでは何と言った?」との質問に対して「言葉はいらなかった。ただ笑って座って楽しんでいたよ」と答えている。「スペイン語はこれまでもかなり勉強してきたんだけど難しいよ。でも、一休みしてまた勉強して、来年の夏にはすごく上達しているはずだ」

「このチームはみんな少年の頃から一緒にプレーしている選手ばかりだ。でも、僕が加わって自分らしくプレーすることを、チームメートのみんなもスタッフも受け入れてくれた。そのことに感謝したい。このグループがどれだけ特別かはみんなが語っている通りだけど、個々のピースをまとめ上げたスタッフの働きが本当にすごいと思う」

「僕たちは最も強いチーム、最も才能のあるチームじゃなかったかもしれない。でも、最後はチームワークが勝つんだ。僕たちは優勝を全く疑っていなかったよ」

もしかすると、4度目のユーロバスケット優勝を果たした今でさえ、彼に対する悪い感情を拭いきれないファンはいるかもしれない。それでも、ブラウンがスペイン代表の『家族』の一員となったのは疑いようのない事実だ。次に代表チームでプレーする時、ブラウンのスペイン語がどれだけ上達しているかが楽しみだ。