仙台89ERSはBリーグ初年度の2016-17シーズン以来となるB1を戦う。チームの中核を成す主力選手は昨シーズンからの継続で、ベテランを数多く抱えることでの安定感、バスケットボールIQの高さが持ち味だが、フレッシュな力でチームに勢いを与えることを期待されるのが23歳の岡田泰希だ。岡田は昨シーズン途中に特別指定選手として加入すると、負けられない昇格争いの中でプレータイムをつかみ、平均7.8得点と攻撃センスを遺憾なく発揮。プロ契約を交わして迎えるルーキーイヤー、彼は攻守両面で大きな飛躍を期している。
「自分がやらなきゃいけない、という責任感がありました」
──北陸高校から明星大へ進学し、在学中には愛媛オレンジバイキングスで、昨シーズンは仙台で特別指定選手としてBリーグを経験しました。プロ志向はいつ頃から持っていましたか?
大学に入った時にはプロ選手になりたいと思っていました。関東2部ではなかなかプロチームの目に留まらないので、そのためには数字の部分で結果を残さなければいけないと思って、スタッツもそうですけど3ポイント王や得点王には1年生の頃からこだわってきました。
──地元チームとなる愛媛には、大学1年から3年まで特別指定選手として加わっています。
愛媛ではプロの厳しさが分かりました。3シーズンでほとんど試合に出れなかったんですけど、今後プロでやっていくために、自分に何が足りないのかをしっかり学べたという感じです。プロのフィジカルの強さだったり、一つひとつのプレーへのこだわり、判断力の大切さですね。軽く打つんじゃなくてチームでチャンスを作るだとか、愛媛ではそういうものを学びました。
──大学4年のシーズンを終えて、昨シーズンは仙台へ。ここではプレータイムも得て活躍できました。同じB2でも上位争い、B1昇格を懸けたシーズン終盤戦に身を置くことは、今までとは違う経験だったのでは?
昇格を争っている状況なので「やばいなー!」という実感はありました(笑)。試合に出させてもらったこともあって、愛媛では経験しなかった1試合の重み、「自分がやらなきゃいけない」という責任感がありました。プレーオフを経験させてもらったのは自分にとって本当に貴重なことだったし、それと同時に今まで以上にワクワクしてプレーできたし、自分にとってのプラスはすごく大きかったと思います。
仙台はディフェンスに重きを置くチームなので、ただハードにディフェンスするだけじゃなくチームディフェンスの部分で自分の知らなかった知識があったり、そこはすごく苦労しました。オフェンスは割と任せてもらえたので、自分から積極的に攻めることができたのは良かったです。ただ判断が悪かったりミスが多かったりしたので、そこは今も自分の課題ですね。
「オフシーズンに結局休んだのは最初の1週間だけでした(笑)」
──特別指定の期間が終わって、今シーズンはプロ契約を結びました。プロ選手としてのスタートラインに立ったわけですが、これまでの学びの中で一番大きかったのは何ですか?
一つに絞るのは難しいですね。オフェンスについては明星ストリートボール大学があったからこそだと思うし、スキルはSHOEHURRYのおかげで学べたことが多いですし、仙台に来て藤田(弘輝)ヘッドコーチのおかげでディフェンスと向き合えることになりました。すべての過程があってこその今の自分だと思っています。
──大学の卒論もバスケに関することだったと聞きました。どんな内容だったんですか?
外国人留学生、スポーツ留学生についてです。ほとんどバスケの留学生の話だったんですが、勉強や暮らしなど学校のサポートがどんな形でどれだけ行われていて、どこが課題なのかがテーマでした。いろんなチームの留学生と繋がりがあったので、それでインタビューをさせてもらって、ここはサポートされているけど、ここは足りない、というのを調べて卒論にまとめました。ゼミには30人以上いるんですけど、その代表として全学生の前で発表しました。
──『ストリートボール大学』と呼ばれる明星大でバスケに打ち込みつつ、文武両道でもあったんですね。
自分は優等生じゃなくて、1年生の時に単位を落としてしまい、そこから上手くやっただけです(笑)。ゼミも卒論も最後はナイナーズでプレーしながらで、試合の前日にも卒論を書いていたりと大変でしたが、何とかやり遂げることができました。
──大学を卒業して、仙台ではB1昇格も果たして迎えた今夏のオフは、どのように過ごしましたか?
シーズン終了とともにバスケから離れてリフレッシュしたんですけど、これからB1で戦うと思えば焦る気持ちも出てくるし、トレーニングして体重を増やしたり、自分からクリエイトして自分で決められるようにプルアップスリーを練習し始めたりしたので、結局休んだのは最初の1週間だけでした(笑)。
「自分の役目は『得点を取りに行く』こと」
──仙台89ERSはどんなチームですか?
昨シーズンから変わらず、ハードなディフェンスから激しくコンタクトして戦うチームです。オフェンスはスーパープレーヤーがいない分、チームで作る感じです。
──プレシーズンの試合もありましたが、開幕に向けた手応えはいかがですか?
フィジカル面ではまだまだ足りないところがあって、プレッシャーを掛けられて何もできなかったところもあります。逆に言えばドライブや3ポイントシュートは、全然ダメな試合もあれば50%ぐらい決めて2桁得点できる試合もありました。自分の役目は『得点を取りに行く』ことで、それについては多少の手応えはあります。
──正式にプロ契約を結び、B1に挑戦します。今シーズンはどのようなプレーをしていきたいですか?
プルアップであったりノーマークの3ポイントシュートをしっかり決めていくこと。ドライブで中に侵入して得点するなりキックアウトするなりビッグマンへのパスなど、やっぱりオフェンスの面で結果を残したいです。今は自分で打つのかパスをするのかの判断がすごく課題なんですけど、そこをクリアすれば上手くやっていけると思っています。
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