ベンドラメ礼生

文=丸山素行 写真=B.LEAGUE

堅守とトランジションで連敗ストップ

サンロッカーズ渋谷は横浜ビー・コルセアーズとの第2戦に勝利し、連敗を6で止めた。だが第2クォーター途中には22点のビハインドを背負うなど、決して楽な試合ではなかった。

「相手のゾーンディフェンスに上手くはまってしまいました。相手がゾーンを組む前にファストブレイクで走ることが大事ですが、相手のリズムに乗せられていたと思います」とベンドラメ礼生は前半の劣勢を振り返った。

「トランジションがなかったり、インサイドに預けて皆が周りを探している時間帯に重くなってしまう」とチームのウィークポイントを挙げたが、まさに前半はその状態に陥っていた。

だが後半に入ると、ディフェンスの強度を上げて横浜のガード陣に仕事をさせず、トランジションが機能し猛追した。

「第3クォーターに激しいディフェンスがずっとできて、ゾーンディフェンスを攻略できたのが良かったです」と言うように、第3クォーターをわずか6失点に抑え、最終クォーターの逆転劇を呼び込んだ。

ベンドラメ礼生

「1番ポジションで自分がどう点を取るかが課題」

この試合、ベンドラメは日本人トップの12得点に加え、チームハイの7アシストを記録し勝利に貢献した。それでも「1番ポジション(ポイントガード)で出ている時にもっと点数を取りたいというのは自分の中であります。2番ポジション(シューティングガード)では積極的に攻めているので、1番ポジションになった時にどうやってチームメートを生かしながら自分で点数を取れるかというのが課題です」と物足りない様子を浮かべた。

現在のスタッツは平均8.5得点、3.6アシストと昨シーズンよりも得点が2.7減少し、アシストが1.2増えている。アシストが上がった分だけ得点が伸びないのは自然なように思えるが、ベンドラメはそのバランスに頭を抱えている。

「1番ポジションというのは全体を見ないといけないです。正直、パスをせずにピック&ロールを使えばシュートは打てます。まだそれを決めきる力が自分にないので、そこで外してしまうとチームの雰囲気も悪くなる。2番だったら1番が作ってくれた流れの中でシュートを打つので打ちやすいですが、1番となるといろいろ考えることが増えるので」

慢性的な得点力不足に陥っているSR渋谷(リーグ14位)にとって、ベンドラメの得点力は欠かせない。今節から指揮を執る伊佐勉も「100%、スコアです」とベンドラメへの期待を語る。「ポイントガードとして彼が成長しないことには、チームも日本の未来も明るくないかなと思うので、1番でやってもらいたい。いきなりやらせてもこの高いレベルでは難しい部分があるので、彼の反応を見ながら、両方使いながら、彼の良いところを引き出したい」

ベンドラメ礼生

「点数が取れないと、個人的には満足できない」

リングにアタックし、フィニッシュまで持って行ける日本人選手はそう多くなく、ベンドラメはそれができるうちの一人だ。またドライブからのシュートが外れたとしても、ビッグマンを釣り出すことで、ロバート・サクレなど味方ビッグマンのオフェンスリバウンドの機会は増える。そうした観点から、フィニッシュまで持っていくことに意味はあるはずだが、ベンドラメは確率を重視する。

「サクレからは『アタックしてシュートを打てば俺がリバウンドを取れる』と言ってもらえているんですけど、僕は確率的にパスの方が絶対だと思います。リバウンドが取れればいいですけど、取れなかったらただのタフショットで、悪い流れを生んでしまうので」

伊佐コーチも「1番で、周りも見ながら得点を取れればいいですけど、そんなに簡単ではない」と話し、その場での状況判断が一朝一夕でできるものだとは考えていない。

またベンドラメは「1番ポジションでいろいろ経験してきて、やっぱり僕は点数を取らないといけないと思うし、点数を取ることによって味方が空いてくるというのは感じています。アシストが増えても点数が取れないと、個人的には満足できない部分があります」と得点への強い思いを明かした。

堅守からのトランジションバスケが炸裂し、逆転で連敗をストップさせたSR渋谷。このままSR渋谷が波に乗るには、ベンドラメが1番として急成長を続けることが欠かせない。