プレシーズンは「B1の強度に対して自分たちがどれだけできるのか試せる機会」
仙台89ERSは9月10日、11日と沖縄に乗り込み琉球ゴールデンキングスとプレシーズンゲームを行った。藤田弘輝ヘッドコーチを始め、コーチングスタッフが新型コロナウイルスの陽性反応となってチーム帯同できないことも響き、2試合ともに力負けを喫した。しかし、特に2試合目は前から激しくプレッシャーをかけるディフェンスで琉球のターンオーバーを誘発するなど、ポシティブな面も随所に見られた。
その中でもアグレッシブなプレーで存在感を発揮していたのがポイントガードの渡辺翔太だ。23歳の若手ガードは2試合目に、積極的なアタックからのレイアップ、フローターなどを効果的に沈め22得点をマークした。
「先週の宇都宮(ブレックス)さんとの試合など、昨シーズンのB1上位のチームと対戦する中で、まずはB1の強度に対して自分たちがどれだけできるのか試せる機会です」
このようにプレシーズンの位置付けについて語る渡辺は、今回の2試合を次のように総括する。「仙台はディフェンスのチームです。B2に比べると個々の能力が高い選手が多い中、どれだけ強度の高いディフェンスができるのか。各選手の能力が高い琉球さんに対し、それぞれがコーチの求める激しいディナイやコンタクトをできたかどうか、昨日に比べたら今日はできたと思います」
そして、持ち味である強気のプレーが光った自身のプレーをこう見ている。「前半はちょっとターンオーバーが多かったですが、自分の得意なリジェクトやアタックを出せた瞬間からすごく勢いに乗ることができて、それが後半まで続けられたのはよかったです。ただ、終盤の終わり方がすごく気になります。小林(遥太)選手と交代でプレーした時、点差が離れてしまったので、ガードとしてコントロールの部分で反省していかなければいけない思いはあります」
アタックは通用も、これからの課題はゲームコントロールの部分
今シーズンの仙台のポイントガードはテンポよくパスをさばきコントロールに長けた小林、切れ味鋭いドライブで自ら切り崩してチャンスメーカーになれる渡辺の2人が軸となる。「小林選手と自分はタイプがすごく違うと思っています。小林選手に出だしで良い形でコントロールしてもらい、自分はディフェンスから激しく行ってアーリーオフェンスで流れを作っていくのが役割だと思います」
渡辺がそう語るようにタイプの違う2人がそれぞれの持ち味を発揮することができれば、オフェンスの幅が広がり、相手にとっては厄介となる。そして、あと約3週間となったシーズン開幕へ向けて、次のことを意識してチーム作りを行っていくという。「まだ、東北カップなどプレシーズンゲームが残っています。まだまだ自分たちが表現したいバスケットボールができていないので、仙台はこういうチームと見ている人が分かる戦いができるように追求していきたいです」
B2からの昇格チームは、まずB1残留が一つの大きな目標となる。ただ、渡辺はより貪欲な姿勢で臨んでいく覚悟だ。「もちろんB1に上がって厳しい戦いとなることは分かっています。それでもB1に残ることを目標にするのではなく、もっと上を目指しB1でインパクトを残せるチームになっていきたいと思います」
Bリーグ初年度以来となるB1の舞台で戦う仙台は今オフに小林、加藤寿一とB1での経験豊富なベテランを補強した。ただ、B2から一気にレベルが上がるB1を生き残るにはチーム全体の底上げが不可欠だ。中でも渡辺、岡田泰希と期待の若手がどこまでステップアップを遂げられるかは今シーズンの明暗を分ける大きな鍵となってくる。B1のサバイバルレースを勝ち抜くには、渡辺が今回のプレーシーズンで見せた強気のプレーを継続していくことが欠かせない。
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