Bリーグができて6シーズンが経過したが、レバンガ北海道はチャンピオンシップ進出も、勝率が5割を超えたこともない。そのチームに橋本竜馬が加わって3年が経過した。アイシンからシーホース三河、琉球ゴールデンキングスと、彼がこれまでプレーした優勝候補とは全く異なる環境に苦しみ、戸惑うこともあったが、4年目の開幕を迎えるにあたり自信に満ちている。昨シーズンに得た手応えを持ち込み、継続路線の中で『収穫の年』にする。その自信と責任感が彼にとっては開幕に向けた強いモチベーションになっている。
払拭したいのは「負けることに慣れている違和感」
──レバンガ北海道で4年目のシーズンを迎えます。なかなか勝てなかった3年間をどう振り返りますか?
レバンガで3年やらせてもらって、チームも自分も良くて結果も出ている順風満々なシーズンは過ごせなかったし、いろんなことをチームメートと話しながら、自分たちのバスケットボールに対しての積み重ねを苦労しながらやってきたと思います。どんなチームも苦労しながら進んでいくんだろうけど、今までのチームは勝ちながら自分の存在、自分たちがどうしていくかを考えられていました。それに対してなかなか勝ち星に恵まれないのは大きな違いですけど、みんなで少しずつ良くしていった3年間でした。
──昨シーズンは佐古賢一ヘッドコーチを迎えて、チームに変化が感じられた1年だったと思います。
これは結構いろんなところで言っているんですけど、負け慣れている、負けに対する違和感をあまり感じずにやっていることは僕がここに来た当初から感じていました。それを佐古さんは、チームとしても選手としても慣れちゃいけないし、必ずどこかで自分たちを変えないといけない時期が来るから、それが今だと思ってやろうと、口癖のように言っていました。みんな最初は「どれだけできるんだろう?」からスタートして、少しずつ自信が持てたし、まだまだと感じる部分もあるんですけど、ステップアップできたシーズンだったとは思います。
──そんな昨シーズン、橋本選手個人としてはどんな経験ができましたか?
負けることに慣れている違和感は自分自身も含めて感じていたことなので、だからこそすごく悔しかったし、自分が何をすればチームの勝ちにより貢献できるのかをすごく考えました。その中で見つけたのは、チームのスタイルや勝ち方はそれぞれで、自分を少し変化させたりだとか、自分が感じていた勝利への概念をチームに合わせて少しずつ変化させなきゃいけないということです。
これは佐古さんが来た時にたくさん話をして、今まで取り組まなかったこと、自分はこうじゃないと決めつけていたことに対してのマインドを変えました。自分のプレースタイル、試合への貢献の仕方を変えたことで自分のバスケに深みが出て、おもしろくなったと感じている部分です。
「一回の練習や一回の試合を大切にするために集中する」
──必死になってやっていることが上手く結果に繋がらないもどかしさは、どう消化していますか?
僕も人間なので、不貞腐れそうになって「なんだよ!」とか「どうしたらいいんだよー」って思う時はあります。ただ、練習や試合に入る前に「このままやるのは簡単だけど、本当にそれでいいのか」と自分と会話して、セルフコントロールしています。じゃないと良い練習も良い試合もできません。いろんな感情はあるけど、一回の練習や一回の試合を大切にするために集中する、というのが自分の中で習慣としてあります。ネガティブな気持ちがある時でもそうやり続けた方が結果的にプラスになることを知っているからこそ、やり続けられる感じですね。
──そういったマインドの習慣付けができるようになったきっかけはありますか?
バスケを指導してくださった方々の教えの中、「これが大切だな」と思ったものを自分で嚙み砕いてきたのが大きいのかもしれないです。また、強豪と呼ばれるチームで常に勝つことを目標にしてきて、まずチームの競争のレベルが高い中で勝たないと試合に出れない、そこで勝ってようやく相手と戦える。そこをどんどんクリアするために、日頃の練習をどう過ごして自分を高めていくかを常に考えていたんだと思います。
だからこそチームの負けが多い時に感じたのは、負けた時に感情のベクトルが自分に向く選手は少なくて、「周りがああだこうだ」となりがちなことで、それに対して自分に何ができるのかをあらためて考えました。
──もともとは『アイシンの先輩』である佐古さんが来て、新たに学べたことは何でしょうか。
バスケの試合の見方や佐古さんのバスケ観も学べましたが、佐古さんと僕には長いかかわりがあってヘッドコーチと選手という関係になったので、僕のプレースタイルや考え方は佐古さんに理解してもらっている前提で、試合の中で何をしたら良い影響を与えられるのかとか、たくさんのことを教えてもらっています。「ああしろ」ではなく「こういう選択肢もあるんじゃないか」とか「こういう考え方をすると次が楽になるんじゃないか」というアドバイスをもらえるので、僕にとってはすごく大きいですね。
「スタートラインが1年前よりずっと高いところにある」
──今まさに合宿中だそうですが、チームの現状を教えてください。
8月にチーム練習が始動しましたが、昨シーズンも一緒にプレーしたメンバーの底上げをすごく感じています。昨シーズンは「どれぐらいやれるんだろう」とか「勝ちたい」といった思いが強かったのですが、今回はそれぞれの選手が個々で感じた「ここを向上させなきゃいけない」という部分をオフの間にやってきたのが練習ですごく分かるんです。もちろん、新しく来た選手によってチームが補強される部分もあるんですけど、何よりも昨シーズンから継続の選手のレベルアップを感じています。スタートラインが1年前よりずっと高いところにあって、良い練習が積めていると思います。
──チームの目標をどこに置きますか?
チャンピオンシップ進出ですね。チャンピオンシップに出ることができれば優勝を狙えるチャンスがある。そこまで行けばどのチームもフラットな状況で、8チームすべてにチャンスがあると思っています。
──今オフは他チームからの誘いもあった中で残留を決めたのだと思います。レバンガでの4年目を、どんな覚悟で迎えますか?
今シーズンにできなければ、ウチが強豪に変わるチャンスはどんどん先延ばしになってしまうと思います。今シーズンにやらなきゃいけない、というかやれると思っていますし、レバンガが変わる瞬間、歴史的な瞬間を一緒に戦ってくださるファン、ブースターの皆さんにお見せしたいと思います。今シーズン開幕に向けてその気持ちを大きくして進んでいきたいです。