「僕たちは良いプレーができており、良いシーズンのスタートを切ったと思う」
広島ドラゴンフライズは9月4日、アルバルク東京とプレシーズンゲームを行い83-75で勝利した。この試合、広島はアップテンポな展開からリズム良くパスを回すことでシュートチャンスを多く作り出すことに成功。計30本のフィールドゴール成功の内、実に24アシストを記録し、6人が3アシスト以上をマークしたことはしっかりチーム全体でボールをシェアできたことを示している。
この新しい広島のスタイルを牽引するのが、新戦力のドゥエイン・エヴァンス、ケリー・ブラックシアー・ジュニアだ。昨シーズンの広島の外国籍はグレゴリー・エチェニケ、CJ・ジャクソン、ニック・メイヨが担っていてメイヨのみが残留。エチェニケ、ジャクソンは共にパワー満点で、ゴール下の肉弾戦で強さを発揮する一方、3ポイントシュートはほぼ打たないなどプレーエリアは狭かった。それによって、相手ディフェンスにとってはカバーする範囲を絞りやすい面もあった。
だが、ボールプッシュもこなし攻撃の起点となれるエヴァンスに加え、ブラックシアーもクイックネスがありドライブで突破してキックアウトができる。さらに両者とも外からも打っていける選手であり、今シーズンの広島オフェンスはより多彩になった印象だ。
チーム合流直後でありながら、15得点6リバウンド3アシスト2スティールと持ち味を存分に発揮したエヴァンスは、新天地での実戦デビューをこう振り返る。「まだ、コンディションを上げている段階だから試合が終わって少し疲れが残っている。ただ、新しいチーム、新しいチームメートと一緒にプレーできたのは素晴らしいことだね。僕たちは良いプレーができており、良いシーズンのスタートを切ったと思う」
そして、プレシーズンゲームと言えど、「いつでも勝利は良いものだよ。そして僕たちのやりたい戦いができた。僕たちはタレントが揃っていて、大きな可能性を秘めているチームだと思う」と結果、内容ともに手応えを得ている。
アメリカ帰国で忘れたという日本語も「シーズン最後にはペラペラになる」
昨シーズン、チャンピオンシップのセミファイナルで劇的ブザービーターを決めるなど、琉球ゴールデンキングスを初のファイナルへと導く立役者となったエヴァンスは、Bリーグでの確かな実績もあり広島の新たな大黒柱として大きな期待を寄せられている。チーム初のチャンピオンシップ出場からの日本一というさらなる高みへと導く役割を求められるが、「僕も同じことを自分自身に期待している」とリーダーの自覚は十分だ。
「僕はシンプルに勝つことが好きだ。常に勝利こそが自分のゴールであり、気にしていること。そして、広島は勝てる力を持っている。これまでと同じエナジーでプレーし、今シーズンもチャンピオンシップでプレーするつもりだ」
また、エヴァンスと言えば、琉球時代はプレーだけでなく、流暢な日本語でのスピーチでも会場を沸かせていた。アメリカに帰国中、日本語を使う機会がなかったことで語学力が低下したと本人は感じており、「今年もチームメートと話したいから昨日から勉強を始めた」と明かすが、次の言葉を日本語で話している時点で十分な日本語力だ。「シカゴ行った時、あまり勉強しなかった。全部、忘れた。シーズン最後にはペラペラになる」
そして広島の目指すスタイルについてエヴァンスは次のように語った。「僕たちはスキルがあり、様々なことができる。ハイスピードでプレーし、ボールをよく動かし、よく走ってイージーシュートの機会を作り出していく」。これを広島が継続して遂行していくには、エヴァンスの攻守に渡るエナジー満点のプレーが欠かせない。試合後のスピーチも含め、今シーズンも彼は大きな注目を集める存在となっていくだろう。