比江島慎

「ドライブで点を取れたが、もっと3ポイントシュートを決めたかった」

男子日本代表はWindow4を1勝1敗で終えたが、2試合ともに手堅いプレーを見せたのが比江島慎だった。68-79で敗れた敵地でのイラン戦、29分22秒の出場で11得点3スティール2リバウンドを記録し、ドライブで何度も仕掛けるアグレップなプレーで攻撃の起点となった。彼の出場した時間帯の得失点差が+16だったことが、チームに良いリズムをもたらしていたことを証明している。そして73-48で圧勝したホームのカザフスタン戦では20分58秒の出場で、8得点に加えインサイドのサイズ不足を補うべく7リバウンドと奮闘した。

カザフスタン戦でも比江島は、外のシュートが入らずリズムに乗れない中、得意のドライブを仕掛けることで攻撃のメリハリをつけようとしていた。仙台で行われたイランとの強化試合に比べると、代表のスタイルによりフィットしている姿を見せられた印象は強い。それでも、本人にとっては満足できるパフォーマンスではなかった。「ドライブで得点を重ねることはできましたが、ターンオーバーも多く、もっと3ポイントシュートを決めてリズム良く行きたかったです。まだまだですが、Window1よりは成長が感じられたと思います」

3ポイントシュートを攻撃の要とする指揮官トム・ホーバスの戦術においては、比江島もプレーセレクションにおいて3ポイントシュートの比重を高めることを求められている。それでも、ただ3ポイントシュートを打っているだけでは攻撃は機能しない。長距離砲を効果的に決めていくには、インサイドアタックをしっかり行うことで内と外のバランスを取ることが重要だ。

比江島慎

「3ポイントシュートを普段は打たないタイミングでも打つように心がけています」

比江島はインサイドアタックも求められている存在で、イラン戦では彼の打開力がチームの大きな助けになることをあらためて証明した。傑出したドライブ力を持つ比江島だからこそ難しい、長距離砲とのプレー選択のバランスについて、現状の手応えをこう語る。

「3ポイントシュートを普段は打たないタイミングでも打つように心がけています。それが入らなかったですが、要求されているシュートは打てていると思います。でも、このチームはシューターが多いので、僕の場合はドライブをしなければいけない場面は多い。3ポイントに意識が行っている中でもドライブは生きていると思いますが、バランスはまだまだ改善しないといけないです」

比江島個人としてはWindow1の時と比べ、確実な進歩を感じているが、代表へのバスケットボールにさらにうまくフィットするにはどうしたらいいかは手探りな状態。ただ、今の代表の方向性に大きな可能性を感じている。「今までやったことのないバスケなので、難しいのは間違いないですが、少しずつ形になっています。このバスケが世界に通用する手応えは今回の合宿でつかめました。世界で勝つには今までやったことのないことが必要ですし、それを信じてやっています」

比江島が、個人として今の代表スタイルにハマることができれば、それは間違いなくチームの底上げに繋がっていく。また、イラン戦での3スティール、カザフスタン戦での7リバウンドと守備での貢献が光ったことも見逃せない。代表における比江島の新たな可能性を感じられた今回のWindow4だった。