文・写真=小永吉陽子

Bリーグを一時中断して行われた日本代表の強化。11月9日から12日にわたり、来年のワールドカップ予選のシミュレーションを兼ねた台湾遠征にて、長谷川健志ヘッドコーチに聞いたインタビューを紹介する。

「初選出の選手は、3人とも自分の良いところを出しました」

7月のオリンピック世界最終予選以降、選手の底上げということで新しい顔ぶれが日本代表に選出されました。国際試合に出ることで伸びた選手はいますか?

遠藤(祐亮、栃木ブレックス)はジョーンズカップで初めて選びましたが、国際試合に出たことで成長して、その経験がリーグに随所に出ていると思います。またアイラ(ブラウン、サンロッカーズ渋谷)に関しては、34歳でアジアチャレンジからのメンバーですが、献身的なプレーですでにチームに欠かせない存在になってくれています。

初選出の安藤誓哉(秋田ノーザンハピネッツ)、中東泰斗、笹山貴哉(名古屋ダイヤモンドドルフィンズ)ら3選手の今遠征でのパフォーマンスはどう評価しますか?

3人とも自分の良いところを出しました。アジアチャレンジに出ていたメンバーが、やるべきことを率先してやってくれたので、彼らもベンチで見ていて攻めどころが分かったのだと思います。

中東は2番、3番として、ドライブしてアタックできる力があると改めて思いました。ただディフェンスがソフトなので2日目の練習で指摘したら、2戦目ではディフェンスをかなり頑張るようになりました。笹山はスピーディーな展開で持ち味を出しますね。シュートも踏ん切りがいいので、一戦目はよく入りました。ただし2戦目で相手のプレスを攻められなかったのは大学時代からの課題です。安藤はピック&ロールの使い方がうまくなっているし、球際に強いところが持ち味。今回は出場時間を増やしたかったので1番と2番の両方で使いました。タフな気持ちを持つ選手なので、まだまだ伸びると思います。

「失敗してもいいからトライすることを求めました」

週末からBリーグが再開します。日本代表のヘッドコーチとして、選手たちにリーグでトライしてほしいことは。

やっぱりまだ外国人選手と日本人選手のマッチアップは起きにくいので、すぐに競技力が上がるというのは難しいことだと感じます。台湾遠征では相手の外国籍選手がオン・ザ・コート「1」だったので、満原(優樹)と永吉(佑也)にマッチアップさせて走ることができたけれど、Bリーグではそれは起きにくい。

リーグでは日本人選手が1対1をしてフィニッシュするケースは少ないです。ゴールにアタックすることに関しても、シュートをただ打つだけならそこでプレーは終わります。でもドライブしてゴールにアタックすればコンタクトが起きるし、どうフィニッシュするか、パスなのか、コンタクトの強さはどうなのか、という選択肢が出てきます。

ゴールにアタックすることで、自分の良さをどう出せるのか、どうやってフィニッシュまで持ち込むのかを考える判断材料が多くなるので、そういったトライをBリーグでやってほしい。

Bリーグは60試合もあるのだから、チャレンジして失敗するプレーが出てきてもいいと思うんです。日本人は失敗しないように、しないようにやろうとする。でもそれではアタックは生まれないし、何が悪いかも分からないから成長しない。今回の遠征は公式戦ではないのだから、失敗してもいいからトライすることを求めました。

最終的には競ったゲームや極限の状態でどう自分を出せるかが、代表選手を選ぶ基準になります。日本は国際大会で簡単に勝てる試合などなく、1点、2点の勝負になるケースばかりなので、国内でもそういう状況で判断できるように挑んでほしいです。まだまだ、たくさんの選手にチャンスがあるので、リーグで競争し合ってほしいです。

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