シェーファー・アヴィ幸樹

アメリカでのトレーニングは「自分のスキルを見つめ直す良い機会でした」

今月末にワールドカップ予選Window4を控えるバスケットボール男子日本代表は、今週末にイランとの強化試合を行う。

イランは先日に行われたアジアカップのグループリーグで敗れた相手であり、さらにはWindow4でも対戦が組まれているため、内容もさることながら結果も求められる。久しぶりの代表選出となったシェーファー・アヴィ幸樹も、こうした事情を踏まえ「勝ちにこだわって、2試合に臨みたい」と語った。

日本はアジアカップで指揮官のトム・ホーバスが求めるスタイルを体現し、今後の可能性を示したが、それと同時に解決できていない問題も露呈した。イラン戦で31-44、オーストラリア戦で29-51と、敗れた2試合ともリバウンドで圧倒的な差をつけられた。オーストラリア戦は故障で渡邊雄太を欠いたこともこの数字に影響したが、リバウンドの向上は日本の永遠の課題だ。

この現実を当然のように理解しているシェーファーは「リバウンドへの意識を第一に考えています」と言う。「相手の方がサイズがあったので仕方がないところもあったと思いますが、自分がこのチームに呼ばれているのは身体の強さやサイズを評価されているからだと認識しています。リバウンドは一つ大きなものとして考えています」

206cmのシェーファーは今回の代表メンバーの中で最も大きい。しかし、シェーファーが「僕たちビッグマンもサイズがあるとはいえ、国際試合になるとそんなに大きくはない」と言うように、世界に目を向ければ、さらに大きな選手はたくさんいる。だからこそ、個人だけではなく、チーム全体でリバウンドの意識を高めることが重要と言う。

「それこそイランの(ハメド)ハダディ選手(218cm)は僕よりも大きいですし、僕も1対1でリバウンドを取るのはなかなか難しいです。なので、全員がリバウンドを取りに行く意識が大事です。僕がボールを弾いて他の選手が取りに来るとか、ガードが飛び込んで弾いてくれるとか。もちろん、僕自身は自分のマークマンには必ず取らせない意識でいますし、コートにいる5人全員がリバウンドに対する意識を高めることが必要です」

シェーファーは代表活動に参加していない期間中にアメリカでトレーニングを積んでいたという。そして、現地の選手の意識の高さに触れるとともに、自身のレベルアップに繋がったと振り返った。「メンタル面でかなり鍛えられました。本当にアメリカの選手たちは意識が高くて、朝6時からワークアウトしている状況でした。自分も貪欲になりましたし、一旦代表から離れて自分のスキルを見つめ直す意味でもすごく良い機会でした」

シェーファーの一番の役割は安定したリバウンドだが、スクリーンをかけ、ハンドオフをする際に起点となるなど、オフェンスでの貢献も当然求められる。「ペリメーターでボールをもらって判断するシーンは増えると思います。そこはトムさん体制になってからずっと話してきたので、少しずつ周りが見えるようになりました。例えば、ピックの判断をする時もどの選手がどこにいて、どっちの選手の方がハンドリングが上手いかなど、そういう判断が瞬時にできるようになってきています」

アメリカでのトレーニングで自身を見つめ直し、フレッシュな気持ちで代表活動に臨んでいるシェーファー。彼がインサイドの攻防で互角以上に渡り合った時、日本の勝ち筋が見えてくるはずだ。