松脇圭志

昨シーズン、琉球ゴールデンキングスは4度目の挑戦で初めてチャンピオンシップのセミファイナルを突破したが、ファイナルでは宇都宮ブレックスに連敗で屈してしまった。新シーズンこそ頂点に立つための戦力補強で獲得したのが松脇圭志だ。コンタクトの強さを生かしたタフなディフェンスに加え、非凡なシュート力を備えた松脇は、故障中の田代直希、牧隼利の2人がいつ実戦復帰できるか不透明な現状において、待望の即戦力ウイングとなる。琉球に初タイトルをもたらす起爆剤として期待を集める新戦力に意気込みを聞いた。

「レベルの高い環境で競争することでより成長できると思ったのが加入の決め手」

――率直にオファーが来た時の気持ちと、加入を決めた理由を教えてください。

まず、「えっ、本当ですか?」という感じでした。まさか、キングスからオファーが来るとは思ってもいなかったです。率直にレベルが高く、昨シーズンはファイナルに出場していて、リーグでも名の知れている選手ばかりのチームです。自分にとって勝つことはとても大事で、キングスは優勝する大きなチャンスがあります。そして、レベルの高い環境で周りと競争することでより成長できると思ったことが加入の決め手でした。

――これまで対戦相手として琉球をどのように見ていましたか。

まずはディフェンスでがっちりマークにつかれる。しっかり守ってからオフェンスに入るチームという印象が強いです。昨シーズン、三遠で試合をした時は、キングスには勝てないイメージでした。富山にいた2020-21シーズンに対戦した時と比べて、より堅いチームになったイメージがありました。

――昨シーズン所属した三遠ネオフェニックスでは、開幕からずっとリーグ下位に沈む苦しい内容でした。あらためて振り返ると、どんなシーズンでしたか。

本当に一言で言うと大変でした。Bリーグ以外のこれまでのバスケキャリアの中でも初めての経験で、どうやったら勝てるんだろうと、ここまで考えたことはなかったです。どうすればいいんだという状態が続いていましたが、その中でも勝つためには何が必要なのか、もっとがむしゃらにプレーしないといけないなど、いろいろと学ぶことのできたシーズンでした。

――琉球では田代選手、牧選手のコンディションもあって、開幕から即戦力ウイングとして大きな期待を寄せられています。

さっきも言いましたように結果を残した名前が知られている選手ばっかりですが、そこで僕が遠慮して引いてしまうのは違います。それでは自分のプレーができなくなるので気をつけます。良い意味で周りに気を遣いすぎないようにして、桶谷(大)ヘッドコーチから求められていることを遂行し即戦力として貢献していきたいです。チームによってスタイルは違うので、早くそこにフィットして僕らしいディフェンスを見せていきたいです。オフェンスでは昨シーズン、ポイントガード以外もボール運びをこなしていたので、僕もボール運びやプレーコールの役割を担えるようになりたいです。

――「琉球の選手は名前が知られている」と強調しますが、松脇選手も高校、大学から世代を代表する選手として活躍していて有名だと思いますが……。

大学までの世界では少しは知られていても、Bリーグでは違うと思っています。これまでBリーグでプレーした2シーズンでは、目立つスタッツを残しているわけでもないですし、多くのBリーグファンの皆さんに知ってもらっている存在ではないです。ただ、琉球に加入して何よりもチームに必要とされる選手になることで、スポットライトを浴びる存在になれる。そうやって注目される位置に行けるように頑張ります。

松脇圭志

「自分が行くべきと判断した時は、もっとボールを要求できるようになりたい」

――自分はどんな選手だと琉球のファンへ紹介したいですか。

基本的にディフェンスから入るスタンスです。それは高校の時から一緒で、シュートが入らなくてオフェンスの調子が悪くても、ディフェンスに影響はないです。ディフェンスの中でもスティールが好きなので、ボールを奪ってそのまま一人で速攻を決める場面を見せたいです。相手のエースにつかせてもらった時、止められることもありますが、結局はやられる部分もあります。1桁得点に抑えて「あの人はこの試合にいたのか」というところまで止めたいです。「松脇にマークされたら嫌だな」というレベルにはなっていないので、まだまだと思っています。「自分はエースストッパーになる」とまで意識はしないですが、任された相手はしっかり抑えたいです。

オフェンスは昨シーズン、3ポイントシュートの本数は増えましたが、成功率はそんなに上がっていないのでもっと精度を高めていく。成功率を40%に近づけたいですし、シュートが外れてファンの方たちからため息が出ないようにしたいです(笑)。

――新天地で新たなシーズンを迎えるにあたり、これまでと違う部分も見せていきたいと意識する点はありますか。

学生時代は空いたら打つ感じで、自由にやらせてもらっていました。それがBリーグに入ってより戦術的になる中で周囲に気を遣って自分が打っていいのか、というメンタルになってしまうことが増えました。富山の時もあまりボールを欲しがるタイプではなく、そこが僕の中で課題になっていました。それを変えて自分からもっと仕掛けるようになりたいと三遠に行き、前よりは自分がもっと積極的に行くことを学べました。ただ、それでも三遠では清水(太志郎)コーチから、「もっとやっていいと思う」と言われていました。キングスに加入して富山の時に戻っては意味がないですし、自分が行くべきと判断した時は、もっとボールを要求できるようになっていきたいです。

――琉球は東アジアスーパーリーグ(EASL)に出場します。海外チームとの対戦をどのようにとらえていますか。

EASLはすごく楽しみです。代表に選ばれているわけでもなく、海外のチームと試合する機会が僕にはこれまでなかったので初めての経験です。自分がどれだけできるのか、どこが足りないのか、そこはBリーグより感じられる部分があると思います。

――最後に琉球のファンに向けてのメッセージをお願いします。

キングスは昨シーズン準優勝まで行きより注目されている中で、僕が新戦力として入ってきて期待していただけるのはうれしいです。ただ、性格の問題で「任せておいてください!!」とまでは言い切れないですけど、皆さんの期待に応えられるように頑張っていきます。

今までは皆さんの応援がすごくて、沖縄で試合をするのは嫌な感じがありました。それが新シーズンからは、あの熱い声援を背に戦うことができるので心強いです。沖縄のバスケは本当に熱いと感じています。ただ、もっと熱くできると思いますし、そのためにも結果を出すことが一番です。今のチームの良い波をもっと大きくできるように貢献していきたいと思うので、僕のプレーにも注目してほしいです。