アンソニー・エドワーズ

「NBAの顔になれると思う?」との問いに「100%そうなる」

今夏のティンバーウルブズは自信に満ちている。ルディ・ゴベアの獲得に成功し、カール・アンソニー・タウンズとのフロントラインはNBA最強クラスとなった。新オーナーのアレックス・ロドリゲスはサマーリーグ期間中に『AP』の取材に応じ、「ファンは興奮している。実際、ウルブズは見る者が応援したくなるチームになるよ」と語っている。

さらに自信満々なのがアンソニー・エドワーズだ。2020年のドラフト全体1位指名選手である彼は、デビューからコンスタントに20得点を稼ぎ出し、ディフェンスもリバウンドも強いオールラウンドな能力を見せている。試合に出るたびに学びを得る彼は、まだまだ急成長の途上にある。

ホークスのトレイ・ヤングとともにスプライトの新たなCMキャラクターとなった彼は、これに関連する『Complex』のインタビューで「子供の頃から自信家で、ずっと自分が一番だと感じていた。これは兄たちのおかげだね。兄弟で対戦することで自分に自信を持つことができた」と語っている。

ゴベア獲得のためにドラフト指名権をごっそり手放した今のウルブズは、プレーオフ進出程度では周囲も成功とは見てくれないプレッシャーに晒される。エドワーズはそれも「当たり前さ」と意に介さない。

昨シーズンには直近の18シーズンで3回目の勝率5割超えを果たし、2回目のプレーオフ進出を決めた。下位に慣れたチームとその周辺はお祭り騒ぎだったが、エドワーズは全く満足していない。彼の新シーズンの目標は、『有望な若手』から脱却して『NBAのスター選手』として認められることだ。

「個人的にはオールスターのスターターになりたい」とエドワーズは言う。「自分のアベレージを上げて、たくさん勝って、プレーオフに進出するんだ」

若手の中で競争する意識はない。レブロン・ジェームズやケビン・デュラントといった『生きる伝説』と、この1年で肩を並べるのが彼の目標だ。常に自信満々のエドワーズは、「NBAの顔になれると思う?」との問いに「100%そうなる」と言い切る。

「あと1年は必要になるだろうね。でも、このシーズンが終わればベストプレーヤーは誰かという議論に僕の名前が加わるはずだ」

冷静に考えれば、いくらエドワーズが将来有望でも、あと1年でレブロンやデュラントに並ぶ評価を得るのは現実的ではない。他にも実績十分のステフ・カリーやカワイ・レナードがいて、その下の世代にもヤニス・アデトクンボやニコラ・ヨキッチ、ルカ・ドンチッチ、ジョエル・エンビードにジェイソン・テイタム、デビン・ブッカー、ジャ・モラント。そしてスプライトのCMで共演するトレイ・ヤングも一般的にはエドワーズより高い評価を得ている。

MVP候補のスター選手たちをエドワーズが一気に追い越すには、とてつもないスタッツだけでなく、チームの好成績も必要となる。プレーオフ進出は余裕を持って勝ち取り、ポストシーズンで大躍進するウルブズの中心となるパフォーマンスを彼自身が見せ、ライバルを打ち倒していかなければならない。

荒唐無稽なチャレンジかもしれないが、エドワーズは「できる」と信じて疑わない。その若い情熱は好ましいし、彼がチームを強力に牽引すれば、ウルブズはアレックス・ロドリゲスの言う通り「見る者が応援したくなるチーム」になるはずだ。