ジェリー・ウェスト

殿堂入りのクージーについて「配管工や消防士に守られていた」と発言

NBAを代表するレジェンドであるジェリー・ウェストが、JJ・レディックのある発言を批判した。

そのレディックの発言とは『ESPN』のトーク番組で、殿堂入りの名選手ボブ・クージーとサンズのクリス・ポールの比較が議題となった際の言葉だ。セルティックスで6度のNBAチャンピオンに輝き、オールNBAファーストチームに10回選出されたクージーについて、レディックは「1980年代より前と現代を比べることはできない。彼は配管工や消防士に守られていた」とコメントした。

実際にレディックが指摘した通り、クージーの現役時代である1950年代から60年代のNBAは選手としてだけで生計を立てていくのは難しく、オフシーズンの間は別の仕事でお金を稼ぐのが一般的だった。一方で現在の選手は年間を通してバスケットボールに専念でき、オフには様々なワークアウトを行ってフィジカル、スキルの両方を磨くことができる。環境面でいうと現代の選手のレベルが上であることは間違いない。

ただ、一方で今のNBA選手が巨額の年俸を得ることができているのは、過去の選手たちの貢献が土台としてあるからだ。だからこそ、ウェストはラジオ番組『Sirius XM NBA Radio』で、レディックの言い方は「敬意を欠いたもの」と批判した。

NBAロゴマークの選手モチーフとなっているウェストは「もちろん、今と昔では試合の内容や選手たち自身も完全に違っている。そして私はJJについて少し知っている。彼は非常に頭が良いが、試合の行方を決めるのに何かしたのだろうか? レディックのキャリアがどんなものだったのか教えてほしい。彼は平均12得点くらいの選手だったかな?」と言うと、こう続けた。

「我々には、自分たちを向上させるための設備がなかった。家族を養っていくために夏の間は働かなければいけなかった。JJは自分が多くのお金を現役時代に稼げたことに感謝すべきだ」

ウェストとレディック、どちらの言い分も間違いではない。ただ、今回に限れば、レディックの言葉がリーグ創世記を支えた先人たちに配慮を欠いたものであることは否めない。