篠山竜青

文・写真=鈴木栄一

「互いに何をしたいのかが共有できていません」

10月20日、21日と川崎ブレイブサンダースは、敵地に乗り込んでのアルバルク東京戦に連敗。2試合とも20点差以上の大差をつけられるだけでなく、21日に至ってはわずか46得点しか奪えないなど、リーグ随一のインテンシティを誇るA東京の守備の前に成す術なしの完敗だった。

ここまでの川崎の戦いぶりを振り返ると、絶対的エースであるニック・ファジーカスが左足を手術した影響でチーム合流が9月下旬にずれ込み、開幕節も欠場。翌週から復帰したものコンディションは万全ではなく、周囲との連携不足も重なり、本来の得点力がなりを潜めている。シェーン・エドワーズ、バーノン・マクリンの外国籍コンビも非凡な能力を示しているが、彼らは新加入であり、チームメートとのコンビネーションはまだまだとなっている。

こういった要因から、川崎の一番の持ち味であるコート上の5人が連動して動くボールムーブメントがまだ実行できていない。個人技で打開できる試合もあるが、1対1の強さでは比類なきA東京が相手となると、沈黙させられてしまった。

川崎のチームリーダーである篠山竜青は、次のようにオフェンス面の反省を挙げる。「もちろん東京さんのプレッシャーディフェンスにやられてしまった部分はあります。でも、それを回避して上手に攻めることは十分にできました。もっと一人ひとりが冷静に状況判断をしてプレーできていればと思いました。ただ、本当にまだまだオフェンスの部分で、それぞれが何をしなければいけないのか、互いに何をしたいのかが共有できていません。これから修正して成長させなければいけないことがたくさんあります」

篠山竜青

「今はチームの強みをどんどん作っていく段階」

初戦は後半の我慢比べで根負けし、2戦目は前日の反省を踏まえてより確実なオフェンスをしようと意識しすぎるあまりに積極性を欠いて自滅した印象だ。この点について篠山は「両方ともありました」と振り返る。

「1日目の試合は前半しっかり我慢できていたんですけど、後半我慢しきれずにターンオーバーでリズムを持って行かれてしまったところがありました。(わずか20点に終わった)2日目の前半は自分たちで自滅というか、勝手に焦ってしまったという部分も見受けられました」

少なくともBリーグとなってから。川崎が同一カードで20点以上の大差をつけられ連戦をともに落とすのは初めてとなる。「もちろん現段階では完成度の部分で東京さんの方が上だったなと感じます」と篠山もA東京との力の差を認める。ただ、これはあくまで現段階の話であり、ここから盛り返し最後は自分たちがチャンピオンになることへの自信に揺らぎは全くない。

また、シーズン序盤にオフェンスがちくはぐなのは、良くも悪くも折り込み済みで、「この連敗をしっかりと見返して、もっとこのプレーをやりたいという選手、自分の得意なプレーが出せてない選手もいる中で、それを一つひとつ整理して、今はチームの強みをこれからどんどん作っていくという段階だと思います。そういう意味で、本当に気持ちを切り替えるだけです」と現状を冷静にとらえている。

篠山竜青

「エナジーを出して、メンタルの部分で負けてはいけない」

しかし、一方で川崎の根幹を支えるハードワーク、泥臭さの部分については、早急に立て直す必要があると強調する。「今日の前半はエナジーが足りていなかったです。そこはハーフタイムで北(卓也)さんからしっかりと喝を入れられても、うまくいかなかったりしてフラストレーションが溜まった部分です。やっぱりエナジーを出して、メンタルの部分で負けてはいけない。そこは、しっかり反省点として次からの試合に生かさないといけないポイントだと思います」

あらためて露呈した川崎の課題は、ファジーカスのコンディション上昇、エドワーズ、マクリンを含めたコンビネーションの確立ともに時間が解決してくれる可能性が高い。とはいえ、チャンピオンシップの準々決勝、準決勝の第3戦が別日に40分でしっかり行われるようになった今シーズン、チャンピオンシップにおけるホームコートアドバンテージの価値はより大きくなっている。だからこそ長いスパンで考えたチーム作りだけでなく、目先の1勝も軽視できない。明日は三遠ネオフェニックスとのホームゲーム、続いて中1日で沖縄に遠征するタフな日程の中で、川崎は結果も残せるのか。シーズン序盤の踏ん張りどころが、早くも訪れた。