デイミアン・リラード

戦い方のバリエーションを増やしたオフの補強

長らくチームの中心だったCJ・マッカラムをトレードしたシーズンが終わり、トレイルブレイザーズはアンフィニー・サイモンズとユスフ・ヌルキッチと4年間の大型契約を結びました。単純に比較すればマッカラムからサイモンズへと主役が交代したことになり、ややスケールダウンした印象は否めません。それでもチームはデイミアン・リラードとも大型の契約更新を行ったため、少なくとも1年間はリラード中心で「勝ちに行く」方針であることを明確にしており、新たなチームがどのような化学反応を起こすかが注目されます。

7位指名権を活用してトレードに動くことも予想されていましたが、この指名権を使うことなく、ジェレミー・グラントを獲得したのは素晴らしいトレードでした。そしてドラフトでは才能あふれるシャンドン・シャープを指名しましたが、未完成の素材型のため、どこまで戦力として計算できるかは不明です。言い換えればシャープが早期に成長すれば、チーム力は一気に向上するでしょう。

しばらくはリラードとヌルキッチによるゲームメークに、サイモンズの得点力が絡むオフェンスの形には大きな変更はなさそうですが、マッカラムのトレードで獲得したジョシュ・ハートやジャスティス・ウィンスロー、フリーエージェントで獲得したゲイリー・ペイトン2世がディフェンス力を底上げできるかが、シーズン序盤の成績を左右しそうです。特にリラードとサイモンズのガードコンビではディフェンスで不安が大きいため、サイモンズをベンチに追いやるくらいインパクトのある活躍をする選手が台頭して欲しい所です。

また、従来とは異なるのがグラント、ナシャー・リトル、トレンドン・ワトフォードといったガードにもビッグマンにも対応できる機動力溢れるウイング陣が揃ったことです。これまでブレイザーズは控えにも典型的なセンターを置いていましたが、ポジションレスのウイングが増えたことでスモールラインナップというオプションが増えました。さらにサマーリーグではドラフト45位のジャバリ・ウォーカーが活躍しており、機動力のあるウイングやビッグマンの層を厚くすることはチームとしての狙いだったと考えられます。ハードなディフェンスからトランジションアタックを新たな武器へと昇華させるのが、新シーズンの課題になってきます。

このブレイザーズのロスター構成で面白いのは、大型契約をしたサイモンズとヌルキッチがチームの中核でありながら、この2人がコートにいない時間の方が活躍しそうな選手を集めた事です。従来型の選手と、新しい型の選手の双方を揃え、戦い方のバリエーションを増やしたオフの補強となりました。スーパースターと呼べるのはリラードしかいませんが、リラードの周囲に異なる特徴を持った選手を揃えていったのは興味深い取り組みです。困ったときにはリラードが個人技で何とかしてくれるのがブレイザーズですが、32歳になったチームリーダーに求められるのは、状況に応じてチームメートの特徴を使い分けるゲームメークになるかもしれません。

中核選手は変わらないものの、新たなチームへと生まれ変わることが期待される新シーズンです。