「人生をかけて自分の行き先をコントロールできる力を手に入れた」
今オフ、NBAを最も賑わせている話題といえばネッツのケビン・デュラントによるトレード要求だ。デュラントはネッツに加入して3年が経ったが、故障の影響からシーズンを通してプレーできたのは昨シーズンのみ。さらに2025-26シーズンまでの総額260億円以上におよぶ大型契約を残しておきながら移籍を求めている態度に批判的な声は少なくない。しかし、ウォリアーズのドレイモンド・グリーンは、デュラントへの厳しい見方を「不可解なものだ」と主張している。
ポッドキャストで配信されている自身のトーク番組『The Draymond Green Show』にて、グリーンはデュラントのトレード要求を人々がなぜ問題視するのか分からないと語る。そして選手は自分の置かれている状況、運命をコントロールし、移籍によって次のステップに進もうとしているだけと続け、トレード要求は一般的な転職と同じであり、批判されるべきものではないと言う。
「もし、Googleに入社して、3年、4年後にAppleに転職する。そこから2年後にテスラに行き、4年後にはドキュサインへと転職を続けても、誰もその人物が所属先から逃げているとは言わない。その人のキャリアや人生にとってベストな選択をしたと言う。しかし、アスリートはそういった見方をされることがない。それが僕にとっては不可解だ。なぜなら僕たちのキャリアは、GoogleやAppleで働く人に比べると本当に短いんだから」
そしてグリーンは、今オフのニコラ・ヨキッチを筆頭に複数の選手が1年平均で50億円以上の年俸を得る大型契約を得ている現在のNBAにおいて、選手がビジネス面を重視した選択をすることは当然だと強調する。「人々は受け入れることができていないけど、アスリートはビジネスマンだ。ただバスケットボールをプレーするだけの存在ではない。僕たちはビジネスを行なっていて、そのための移籍であり、決定をする。ビジネスのための決断を下すことで、ひ弱とかチャレンジから逃げていると言われるのは理解できない。人生をかけて自分の行き先をコントロールできる力を手に入れた。NBAですべての選手がそれをできるわけではなく、それが可能な地位を得る。これはアメリカンドリームなんだ」
この配信で何度もグリーンは、『不可解』という言葉を発した。世間一般のアスリートに対する見方が彼の望むような形へと変わることはあるだろうか。