攻守両面でキングスの補強ポイントにマッチするマレー

昨シーズンのオフにガードとビッグマンばかりを手厚くする補強を行ったキングスですが、シーズン中のトレードではドマンタス・サボニスを獲得する一方で、多過ぎたガードとビッグマンを減らし、ウイングを集めに行きました。フロントの方針が右往左往している印象は否めませんが、1年前よりもグッとバランスが良くなっており、さらにドラフトでは万能ウイングのキーガン・マレーを指名しています。

マレーは機動力のあるパワーフォワードタイプで、力強いドライブやポストムーブだけでなく、オフボールで動き回ってスペースに飛び込むこともできれば、3ポイントシュートも高確率で決めてくるコンプリートプレーヤーです。パス能力もありますが、起点としてプレーメークするというよりも、チームメートのパスを引き出す動きが上手く、多彩なコンビプレーを生み出してくれそうです。

このマレーの特徴はディアロン・フォックスとサボニスが起点役としてプレーメークするキングスに完璧にフィットします。スピードのあるフォックスについていく機動力もあれば、ポイントセンターのサボニスが作ったスペースに飛び込んで有効活用し、魅力的なオフェンスを作り上げる期待が高まります。ハリソン・バーンズもいるだけに、オンボールプレーが上手いだけではチーム力アップには繋がりにくそうでしたが、マレーなら違和感なく溶け込めるでしょう。

キングスの不安要素であるディフェンス面では、素早いカバーリングでスペースを埋めてくれることが期待されます。本来ならばリムプロテクトの高いビッグマンを加えることでディフェンスの改善を図るところですが、昨シーズンの時点ですでに失敗しているだけに、サボニスとバーンズが空けてしまう穴を素早く塞ぎに行けるウイングの方が試してみたい補強でもありました。攻守両面でキングスの補強ポイントにマレーはマッチしています。

また、サボニスをベンチに下げ、ゴール下タイプのリショーン・ホームズと組ませることも考えられ、戦い方に幅が作れそうなのもマレーの面白さです。チーム戦術がワンパターンだったこともキングスの問題でしたが、選手交代により試合の中で変化を作りやすくなり、新ヘッドコーチのマイク・ブラウンの采配次第では、接戦に勝ち切る試合が増えそうです。

キングスは勝ち切れていないとはいえ、再建段階のチームとは違い、核となる選手は固まっています。ポテンシャルはあっても完成度の低いルーキーでは、周囲と噛み合わず活躍できなかった可能性もありますが、オフボールで仕事ができるマレーならば何も問題なく、チームを成長させてくれるはずです。単に個人技でプラスを生み出すのではなく、様々な相乗効果が生み出されることを期待したい選手です。