死力を尽くした総力戦は延長の末栃木に軍配
アルバルク東京がホームのアリーナ立川立飛に栃木ブレックスを迎えた、水曜ナイトゲーム。4連勝チーム同士のハイレベルな攻防が続き、40分間で決着がつかず、延長の末に栃木が勝利を手にした。
A東京は前節のシーホース三河戦で負傷した小島元基がベンチ登録を外れ、田中大貴もベンチ外となり、苦しい布陣に。そのA東京の完成度の高いピック&ロールに対して、変則的なディフェンスローテーションを遂行し、ズレを作らせず相手の出鼻をくじく。ライアン・ロシターがインサイドで強さを見せ、第1クォーターだけで12得点を記録した栃木が4点をリードした。
第2クォーターに入ると、リングにアタックする意識を高めたA東京が栃木の変則ディフェンスを攻略。マークマンの受け渡しを無効化し、オフェンス優位な状況を作る。開始2分強が過ぎ、ザック・バランスキーの3ポイントシュートで23-22とA東京が逆転した。
その後、栃木はチェンジングディフェンスを駆使してA東京を翻弄し、ロシターを中心に得点を重ねていく。対するA東京も、フィジカルなディフェンスを軸に、アレックス・カークやジャワッド・ウィリアムズを起点にしつつ、フィニッシャーを変え得点を積み上げていった。
55-53、A東京が2点をリードして最終クォーターを迎えたが、一進一退の攻防が終盤まで続いていく。ウィリアムズの3ポイントシュートが決まり、一時7点をリードする。試合を優位に進めていたA東京だったが、この試合35得点を挙げたロシターにこのクォーターだけで15点を奪われ、残り1分12秒に同点に追いつかれた。
勝負を分けたフリースロー
試合後、ルカ・パヴィチェヴィッチヘッドコーチが「勝つチャンスはいくつかあった」とコメントしたように、どちらに勝負が転んでもおかしくはなかった。最初にチャンスを手にしたのはA東京だった。一瞬の隙を突かれ、トランジションからノーマークで遠藤に3ポイントシュートを打たれるもこれが外れた。
そして同点のまま迎えたA東京のラスト1プレーの場面、両チームともにチームファウルが5に達している状況で、馬場雄大がリングにアタック。残り1.7秒で遠藤のファウルを誘発し、フリースローを獲得した。
1本でも決めれば、A東京の勝利が濃厚な場面だったが、馬場がこれを2本ともミスし、延長戦へ突入した。
延長に入りタフな守り合いが続いたが、無類の勝負強さを誇る渡邉裕規にミドルシュートを2本決められてしまう。それでもザック・バランスキーが値千金の3ポイントシュートを沈め食らいつく。残り39秒、ロシターがフリースローを2本とも外し、1点ビハインドのままA東京のオフェンスを迎える。逆転を狙った安藤誓哉の3ポイントシュートが外れファウルゲームに持ち込むも、菊地祥平がアンスポーツマン・ライク・ファウルをコールされ万事休す。それで得たフリースローを渡邉に2投とも決められ、最終スコア74-79で終了した。
安齋コーチ「勝ち切れる力がついてきてる」
激戦をモノにした栃木の安齋竜三ヘッドコーチは「我慢の試合でした。東京さんはケガ人が何人かいる中でも、チャンピオンチームだなと思わせるくらいの激しさや遂行力があり、あらためてすごいと思った」と敵チームを称賛する。それでも延長にもつれる激闘を制し、「それにしっかり我慢して勝ち切れる力がついてきている。最後までディフェンスとリバウンドを頑張った選手達を今日は誇らしく思います」と選手へねぎらいの言葉を送った。
敗れたA東京のルカコーチも「栃木は本当に良いバスケットをしていました」と相手を称賛。「今日は一つひとつのポゼッションが非常に重要になるタフな試合でした。もちろん勝つチャンスはいくつかありましたが、生かしきることができませんでした」と試合を振り返った。
そして勝負を決定づけるフリースローを外した馬場は「自分のせいで負けた試合としか今は言えません」と敗戦を正面から受け止めた。
4連勝同士の新旧王者対決ということで注目の一戦となったが、平日ナイトゲームにも関わらず、会場は赤と黄色の人で埋まり、BGMいらずの歓声で包まれた。今シーズンのBリーグは平日開催が増え、それに伴い選手の負担も増すが、週末に会場へ行けなかった新たなファンを獲得できる、そんな希望を持たせるような試合となった。