東京五輪を視野に──バスケットボール男子日本代表の『世界に追い付くため』の挑戦

2016/11/09
日本代表
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文=鈴木健一郎 写真=小永吉陽子

W杯アジア予選を1年後に控えた今こそ『予行演習』

男子日本代表は第8次強化合宿(台湾遠征)をスタート。今日、台湾の新北市に移動し、10日に台湾ビールと、11日に台湾銀行とテストマッチを行う。

男子日本代表は7月の世界最終予選で敗れ、リオ五輪の出場を逃したが、その後すぐに再スタートを切った。7月の『ジョーンズカップ』(台湾での招待大会)、8月のジョージ・ワシントン大を招いての国際親善試合、そして9月は『FIBA ASIAチャレンジ』(イランでの国際大会)と間を置かずに活動を続けた。そして今回はBリーグの中断期間を利用して台湾遠征を実施する。

今夏がそうだったように、リーグ戦のシーズンオフの時期が、代表にとってはまとまった強化期間となる。来年もその流れは同じで、2017年11月のアジア予選ファーストラウンドをひとまずの『本番』として見据え、継続的な強化を進めていく。夏を中心に強化を進めて11月の『本番』を挑む、という意味での『シミュレーション』の締めであり、『仮想・本番』が今回の台湾遠征なのだ。

合流日となった昨日、一日だけの国内練習がメディアに公開された。技術委員長を務める東野智弥は、FIBAランキング48位の日本がここから東京五輪の出場12チームに入るために、「早くから始めなければ世界に追いつけない」と、この時期から強化に邁進する必要性を語った。

日本代表を率いる長谷川健志ヘッドコーチは、今回の短期間の合宿のテーマを「9月の『ASIAチャレンジ』で出せた良い部分をもう一度やること」と定める。「新たなことをするのは無理です。前にやったことの良い部分をチームの土台にします。全員がゼロからのスタートというわけではないので、チームとしては作りやすい」と語る。

各クラブから選手が集まって、一日だけ練習してアウェーの国際試合を戦って帰国する。慌ただしいスケジュールだが、来年はこのスケジュールをこなしながら結果を出さなければならない。そのリズムを選手たちが『身体で覚える』というのも、今回の重要な課題だ。

「リーグだけで国際ゲームはなかなか勝てない」

長谷川ヘッドコーチは「これからリーグ期間中に予選が行われるわけですから、常にリーグで競争して勝ち抜いてこなければいけません」と、選手たちがBリーグでこれまで以上に切磋琢磨してレベルアップすることを求める。

「活躍している選手はもちろんいますが、日本代表とBリーグが繋がるというのは、今すぐ100%というのは難しい。お客さんが入った分だけ、やっぱりスピードやハードワークは向上したと思いますが、まだまだこれから。リーグだけで国際ゲームはなかなか勝てないです」

どのチームでも外国籍選手が主軸となるBリーグでのプレーをそのまま日本代表に持ち込んだのではフィットしない。普段から染み付いているプレーは、代表のユニフォームを着たからと言って即座に切り替えられるものではない。

「アイラ(ブラウン)はいますけど、代表では日本人だけでプレーしないといけない。それを忘れないでやることが大切です。困ると外国人に頼ってしまう傾向は多少なりともあります」と長谷川ヘッドコーチは言う。「オフェンスを組み立てていくにしても、ポイントガードならチームにどういうことをやらせたいか考えないといけない。それはチームで集まらないとできないことなので、短い期間の中でもやっていきたい」

今回の台湾遠征において、勝ち負けは重要ではない。しかし、収穫はいくらでも持ち帰ることができるはず。この夏の一連の代表活動で主力を張り続ける比江島慎、辻直人といった中軸に、『ASIAチャレンジ』から代表入りしてチームに高さと強さをもたらしたアイラ・ブラウン、そしてBリーグでの活躍が認められて初招集となった中東泰斗と笹山貴哉、安藤誓哉といった面々には、大きな成果を持ち帰ってもらいたい。