攻撃の幅を広げる万能ビッグマン
琉球ゴールデンキングスは開幕4連勝と順調なスタートを切った。この連勝に大きく貢献しているのがジェフ・エアーズだ。特に13日の名古屋ダイヤモンドドルフィンズ戦では、3ポイントシュート5本成功を含む26得点と、外角シュート力を存分に発揮するパフォーマンスだった。スパーズでNBA優勝を経験し、アルバルク東京でBリーグでのプレー経験も持つ31歳のベテランフォワードは、ここまで周囲の期待にしっかりと応えている。
13日の大活躍についてエアーズは、「この会場は練習で使っているけど、試合になるとセッティングが違うので違和感があった。2日目になって慣れたよ。オープンショットを作ってくれたチームメートに感謝している。チームの勝利だ」と振り返る。
そして、佐々宜央ヘッドコーチはエアーズについて「体格は良いですが、彼は外の選手。アウトサイドシュートのタッチが良く、パスがうまいです。チャンスがあれば積極的に狙っていてほしいですし、それは昨シーズンのチームになかった部分です」と評する。
昨シーズンの琉球はヒルトン・アームストロングとハッサン・マーティンの外国籍コンビで、ともにゴール下を主戦場としていた。しかし、「僕のバスケはコートに出ている5人のうち、インサイドの選手は1人でいいというスタイル」と語る佐々にとって、エアーズのような3ポイントシュートを得意とするビッグマンは自身のやりたいバスケットボールにより合致したタイプだ。
今シーズンの琉球には、ジョシュ・スコットというゴール下の得点源がいる。また、帰化選手のアイラ・ブラウンもインサイドでのパワープレーで生きる選手であり、だからこそエアーズの存在は、攻撃の幅を広げる意味でも重要となってくる。
「会場のエナジーをどんどん上げていきたい」
今オフ、複数の選択肢があった中で琉球を選んだエアーズだが、その理由を「前回のアルバルクで日本には良い思い出がある。そして多くの外国籍選手が、沖縄は素晴らしいところと教えてくれたので、完璧な状況だと思ったんだ」と語る。
シーズンが始まったばかりであるが、チームのポテンシャルについて確固たる自信を見せる。「僕たちは高いオフェンス力を持っている。そしてシュートが入らない時に我慢できるディフェンス力も持っている。僕たちのケミストリーは素晴らしい。みんなバスケIQが高く、何をするべきか分かっている。シーズンが進んで互いにもっと分かり会えることで、さらに良くなっていけるはずだ」
また、今後の自身の課題としては、「これからアジャストしなければいけないのは、平日の試合が行われる時、試合までどのように過ごすのかルーティンを確立すること。それ以外は大丈夫だと思う」と語り、平日開催のタフな日程への適応を挙げている。
バスケIQが高くスマートなプレーを見せるエアーズだが、それと同時に特徴的なのは得意の3ポイントシュートを決めた時などに雄叫びをあげるなど、感情をむき出しでプレーすること。これには次のような意図も含まれている。
「これは自分の性格だ。それに自分自身やチームメートを盛り上げるだけでなく、ファンの皆さんも巻き込むことで良いサイクルを作り出し、会場のエナジーをどんどん上げていきたい」
王座奪取を命題に掲げて挑む琉球において、冷静な状況判断と情熱溢れるプレーでチームメイト、そして会場全体を鼓舞するエアーズの存在は、これからどんどん大きくなっていくはずだ。