[NBA開幕プレビュー サンダー]『原点回帰』でウエストブルックらしいチームに

2018/10/17
NBA&海外
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サンダー

文=神高尚 写真=Getty Images

昨シーズン成績
48勝34敗(西カンファレンス4位)、プレーオフ1回戦敗退
主な加入
デニス・シュルーダー、ナーレンズ・ノエル
主な放出
カーメロ・アンソニー、コーリー・ブリュワー

鮮やかなオフェンスをあきらめ、ハードワーク重視に

昨シーズンはポール・ジョージとカーメロ・アンソニーを加え、ラッセル・ウエストブルックと3人で『OK3』と呼ばれるトリオを形成。優勝争いを演じることが期待されましたが、最後まで機能することなくプレーオフ1回戦で散りました。今シーズンはサラリーキャップの関係でカーメロを放出して戦力ダウンしている反面、サンダーらしいチームカラーを取り戻しそうです。

カーメロを獲得した戦術的な理由はストレッチ4として3ポイントシュートを決めてもらい、ウエストブルックの突破力を生かすことで、いわば『鮮やかなオフェンス』を目指したことになります。カーメロ本人は平均16.2点で第3オプションとしては役割を果たしましたが、チームの3ポイントシュート成功率は35.4%でリーグ24位。残念ながら『鮮やかなオフェンス』とは言い難かったのです。

一方でサンダーの本来のチームカラーは、強固なディフェンスとしぶといリバウンド、そしてルーズボールへのダイブといった『ハードワーク』で、これにカーメロは馴染めず、特にディフェンス面はプレーオフになると狙われる結果に。オフの補強はカーメロの役割をこなす選手ではなく、運動能力の高い選手となりました。

結果としてサンダーは、ウエストブルックのシュート成功率に難があるためミスを全員でフォローし、ディフェンスからの速攻で得点していく『ハードワーク』に原点回帰したのです。

その方向性はプレシーズンからも見受けられ、全員が攻守の切り替えを早くしています。フィールドゴール成功率の悪さは変わらず、オフェンスリバウンドで補い、ターンオーバーの多さをスティールで取り返す、ウエストブルックが中心のチームらしいスタッツを残しています。

エースの不在をチャンスに変えることができるのか

もっとも、絶対的なエースであるウエストブルックはケガのため開幕から欠場が決まっています。ディフェンスの要であるアンドレ・ロバーソンも再手術で欠場が長引き、主力不在でシーズンを迎えます。これは大きなハンデですが、チームの目指す方向性はハッキリしており、むしろ大黒柱の不在は変革をもたらすチャンスでもあります。ウエストブルックは圧倒的な突破力を誇るエースですが、ボールを持ちすぎチームオフェンスを停滞させることもあれば、逆にウエストブルック頼みのシステムになりすぎて、彼がベンチに下がるとチームが停滞しました。

2年連続トリプル・ダブルという貢献度は良くも悪くも影響力が大きすぎ、単調なチームになっています。だからこそ、この不在の期間は効率的なチームオフェンスを組み立てていくチャンスととらえることもできます。

ポール・ジョージをエースとして際立たせるシステムの構築、新加入のデニス・シュルーダーがポイントガードとしてクセのあるメンバーを把握する時間、パトリック・パターソンとジェレミー・グラントというカーメロとはタイプの違うパワーフォワードの有効活用など、整理すべき課題は多くあります。ディフェンスやリバウンドなど、ベースとなる強さはあるだけに、そこに効率的な得点方法を習得できるかどうかは、優勝争いに加わるためには重要なポイントです。

注目すべきはフリースローの成功率です。昨シーズンは71.6%でリーグ29位と散々でした。フィジカルの強さで押し込んでおきながらファールで止められると得点に結びつかず、セルティックス戦では終盤にセーフティーリードを得ていながらファウルゲームされると立て続けにフリースローを外し大逆転負けもしています。しっかり決めたと評価できるのはアレックス・アブリネスとパターソンの2人だけの現状、チームとして最優先で取り組むべき課題です。

また、この2人にテレンス・ファーガソンを加えた3人がシューターとして結果を残せるかもチームの浮沈を握ります。インサイドの強いチームではフリーで打つ機会も多く、3ポイントシュートの成功率は40%を大きく上回りたいところ。何より高確率で決めてくれればキックアウトパスが増加する良いサイクルが生まれるはずです。

強引な突破の多いサンダーは、リーグ4位のフリースローアテンプトがありながら決める事ができず、かといってキックアウトしても3ポイントシュートが高確率とは言い難いため、結局は強引な突破で決め切ろうとする悪循環が目立ちました。

チームカラーを色濃くする今シーズンのサンダーですが、それだけでは西カンファレンスを勝ち上がるのは難しいので、エースの不在を好機と捉えて、新たな要素を加えられるかに注目です。

+++++注目すべき『脇役』+++++
ジェレミー・グラント&パトリック・パターソン カーメロが抜けたポジションを担当するのは、スピードに優れドライブで切り裂くグラントと、フィジカルなディフェンスとシュート力に優れるパターソン。2人の使い分けはチームに変化をもたらす。