文=鈴木健一郎 写真=野口岳彦

徹底したギャレット対策でA東京を8分44秒間無得点に

マンデーナイトの代々木第二体育館、アルバルク東京と秋田ノーザンハピネッツの対戦。前日の第1戦は相手の強固なディフェンスに手も足も出ず完敗を喫した秋田だったが、一日できっちりと課題を修正し、強敵に立ち向かった。

立ち上がり、菊地祥平の不用意なパスをスティールして素早く展開、白濱僚祐の3ポイントシュートで秋田が先制する。後から振り返ればこのファーストプレーが試合全体を象徴していたのかもしれない。

もっとも、しばらくは試合は均衡した。秋田はまずディフェンスから入った。昨日よりも激しくプレッシャーをかけ、なおかつ安易にファウルしない慎重さも保ちつつ、A東京にイージーシュートの機会を与えない。それでも最初はA東京のシュートタッチが良く、第1クォーター残り4分23秒の時点で8-14と引き離されかかるが、前日は音なしだった外国籍選手がインサイドで攻守に奮闘。リバウンドを奪っては走り、ゴール下でしぶとくシュートを沈め、相手の意識を内に集めて高橋憲一の3ポイントシュートが決まるなど波に乗る。

第2クォーターも秋田のペース。A東京はオン・ザ・コート「2」の状況だが、昨日ケガをしたトロイ・ギレンウォーターの欠場により迫力を欠いた。秋田は相手のキーマンであるギャレットを徹底的にマーク。前日にやっていたスイッチをやめてギャレットには常に安藤誓哉か田口成浩のいずれかが張り付き、そして効果的にゾーンディフェンスを使うことでA東京にリズムをつかませなかった。

第1クォーターの終わり4分23秒、そして第2クォーター開始から4分21秒、A東京に得点を許さず。この間、オフェンスではスコット・モリソンがゴール下で激しく戦ってバスケット・カウントの3点プレーを2回決め、ディショーン・スティーブンスも強く当たられながら技アリのフックシュートを決めるなど、実に18-0のランで26-14とリードを2桁に広げる。ターンオーバーから走ったギャレットのレイアップでランを切られると、すぐさまタイムアウトを取って流れを止めるなど、ギャレットを勢いに乗せないために取れる手段はすべて取った。

時には強引、時には冷静なバスケットを40分間貫く

後半に入るとA東京も気持ちを引き締め直し、攻守ともに立ち直る。それでも秋田のペースは落ちなかった。象徴的だったのが第3クォーター残り6分でのプレー。伊藤大司に鮮やかなスティールを決められるが、そのボールをコントロールできずにいたところを奪い返して安藤が3ポイントシュートを沈め、45-28とリードを広げた。

点差が広がったことでA東京は3ポイントシュート攻勢に出る。田中大貴、伊藤、ギャレットと立て続けに沈め、このクォーターだけで7本中5本の3ポイントシュートを決めたA東京だが、それでも秋田は動じることなく自分たちのバスケットを続行。最後はスティーブンスがドリブルで竹内譲次をかわし、ダンクで第3クォーターを締めくくった。

58-44で突入した第4クォーターも、強攻に出るA東京に対し秋田が積極的なプレーで対抗する展開。A東京は時間の経過とともに調子を取り戻し、最終クォーターには前日の『完璧なディフェンス』で秋田のオフェンスを組み立ての段階から苦しめるが、今日の秋田は個々が果敢に仕掛けて相手の綻びを見つけ出し、時には強引に、時には冷静にシュートまで持ち込む。A東京の『壁』を前に、半ば責任逃れのような意味のないパス回しで時間を浪費していた前日とは全く違うパフォーマンスだった。

10点差での鍔迫り合いが続くが、残り2分を切って秋田が突き放す。素早く連動した動きでA東京のディフェンスを完全に切り裂き、モリソンからのパスを右サイドでフリーで受けた白濱が、二呼吸置けるほど余裕のある状況で3ポイントシュートを沈め、73-59とリードを広げる。秋田は最後まで手綱を緩めず、78-64で勝利した。

長谷川誠ヘッドコーチは、「次の試合があるから、我々はプロとしてやることをやろう」と前夜の敗戦に落ち込む選手たちに喝を入れたと話す。「今日の一勝は非常に大きい。若いチームだけに、これを勢いに変えたい。来週試合がないのが残念」

敗れたA東京の伊藤拓摩ヘッドコーチは、意外にもサバサバした表情で会見場に現れた。「オフェンスでもディフェンスでも、秋田さんがタフでした。後半は修正してウチも良いプレーをしたのですが、相手も良いプレーをした。負けるとすべてを否定したくなるような気持ちになりますが、その必要はありません。チームとしては良い課題が出たと思います。バイウィークに身体も心も休めて、またしっかり戦おうと思います」