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ポテンシャルが開花したバーンズのチームを救うレイアップ

開幕5連敗中のマーベリックスと4勝2敗と好調なバックスとの一戦は、48分間では決着がつかず、延長に突入する白熱した試合となった。

両チームともに良い時間帯と悪い時間帯を分け合い、試合は進んでいった。第4クォーター開始時点で59-56とNBAとしてはかなりのロースコアの展開に。わずかにリードしていたマーベリックスだが、バックスの素早いトランジションで追い上げられ、ミルザ・テレトビッチの3ポイントシュートで逆転を許してしまう。さらに残り時間を10分以上残した状態で、センターのアンドリュー・ボーガットがファウルトラブルに。

絶体絶命の状況だったが、スモールラインナップを採用するヘッドコーチのリック・カーライルは、5ファウルのボーガットをベンチに下げずに勝負。これが当たり、高さで劣るチームの中でボーガットが確実にディフェンスリバウンドを取り、反撃の土台を作った。

残り1分7秒、マブスの切込隊長であるホセ・バレアが高速ドライブから3点プレーとなるフローターシュートを沈め72-72の同点とする。だが、堅守からスティールしかけたボールが不運にもヤニス・アデトクンボの下に向かい、そのままボースハンドの強烈なダンクを浴び、再びビハインドを背負う。

残り27秒、2点を追う状況でチームを救ったのは、この日絶好調のハリソン・バーンズだった。右45度でボールを受けると、ファウルトラブルでタイトにディフェンスできないアデトクンボをクロスオーバーで抜き去り、延長へ持ち込むレイアップを決めた。

マブスは各所で身長のミスマッチが生じたが、我慢と粘りのディフェンスで凌ぎきった。

勝負を分けたファウルトラブル後のプレー

追い付いたことで勢いに乗るマブスは、延長でもそのまま主導権を握る。コートに立ち続けたボーガットがペイントエリアで存在感を放ち、5分間で失点わずか1とバックスをシャットアウトする。

オフェンスではバレアが大事な場面で3ポイントシュートとミドルシュートを沈め、絶妙なパスでマシューズの3ポイントシュートをアシストし勝負を決めた。延長を12-1で制したマブスが、ようやく今シーズン初勝利を手にした。

バーンズはキャリアハイの34得点を記録。ケガで欠場となったダーク・ノビツキーの得点をすべて補うかのように、自身のオフェンスオプションを高いレベルで遂行した結果だった。バレアがバーンズに次ぐ21得点5アシストと勝利に貢献した。またチームの総リバウンドの3分の1以上となる16リバウンドをボーガットがもぎ取った。

バックスはエースのアデトクンボがファウルトラブルに陥り、わずか26分間の出場に留まった。得点も11得点と、エースの低調が接戦を落とす大きな要因となった。

5ファウルの選手を出し続けることは悪手とされているが、今日のボーガットのように集中力が増し、パフォーマンスを上げる選手もいる。優勝を経験する老練なボーガットだからこそ当たった采配だが、これが勝敗を分けたポイントとなった。

マブスはダーク・ノビツキーがアキレス腱の負傷で戦線離脱となったが、そのマイナスをプラスに変えて初勝利をもぎ取った。特に、今後のマブスを背負うべき新戦力のバーンズが、キャリアハイの活躍を見せたことは大きな収穫となった。スタートダッシュに失敗したが、今後の巻き返しに期待がかかる。

アデトクンボは持ち前の高い身体能力を披露するも、ファールトラブルに陥り、思ったようなプレーが出来ずマブスに惜敗した。