オフェンスリバンドからシュートをねじ込んで熱戦に終止符を打つ
5月22日、琉球ゴールデンキングスは島根スサノオマジックとのセミファイナル第2戦を行った。終盤まで一進一退の攻防が続く中、ドウェイン・エバンスがブザービーターを決め72-70で勝利。劇的な幕切れでシリーズ2勝0敗とし、初のBリーグファイナル出場を決めた。
試合は序盤から激しいディフェンスを続けてタフショットを打たせ、互いにオフェンスで流れに乗れない。その中でも島根はペリン・ビュフォード、琉球は今村佳太が次々とシュートを沈め島根の38-36と互角の展開で前半を終える。
後半の立ち上がり、インサイドアタックができずボールムーブが停滞する琉球に対し、島根は引き続きビュフォードが得点を量産し、49-40と突き放しにかかる。だが、ここで琉球はディフェンスで踏ん張ることで我慢して盛り返す。そのまま試合は第4クォーターに入っても互いに譲らない緊迫の展開が続く。残り11秒、同点で迎えた琉球のオフェンス、岸本隆一が放ったジャンプシュートは外れたが、オフェンスリバウンドをもぎとったエバンスがシュート。これが試合終了のブザーと共にリングに吸い込まれて勝負あり。琉球が4度目のセミファイナル挑戦で遂にファイナルの切符をつかみ取った。
琉球の歴史を変える一撃を決めたエバンスは、ラストプレーをこう振り返る。「岸本選手がシュートを決めると信じていましたが、もし外れたら自分がなんとしてもリバウンドを追いかけてシュートを決めないといけない気持ちでした」
「ディフェンスにプライドを持っていて、大事な局面で相手のエースをマークしたい」
最後に大仕事をやってのけたエバンスだが、試合全体を通してはフィールドゴール15本中5本成功のみと、得意のドライブを島根ディフェンスに徹底的に潰されたこともあって苦戦していた。だが、それでも集中力を切らさず、ハードワークでチームを支えていたことが最後のビッグプレーに繋がった。
「今日は自分のプレーがうまくいかない場面が多くて苦しかったです。それでも我慢強く、歯を食いしばって頑張り続ければ良いことがあると思ってプレーしていました。自分のキャリアを振り返っても大きな影響がある試合でした」
島根のビュフォードは34得点の大暴れだった。しかし、フィールドゴールを計29本も放っていたスタミナ切れの影響があったにせよ、エバンスが主にマークについていた第4クォーターは7本中2本成功の4得点のみ。クォーターファイナルの秋田ノーザンハピネッツ戦で相手エースのジョーダン・グリンを抑え込んだことと合わせ、今回のチャンピオンシップではエバンスのエースストッパーとしての活躍ぶりも大きく目立っている。
攻守に長けたオールラウンダーとして琉球をけん引するエバンスだが、「ディフェンスにプライドを持っています」と一際、強いこだわりを見せる。「先週のグリン選手、ビュフォード選手と素晴らしい相手で止めるのは難しいですが、大事な局面でそういった選手をマークしたい気持ちは持っています。それが自分の大きな仕事と思っています」
今季が琉球2年目のエバンスにとっても、昨シーズンはセミファイナル第3戦で敗退した雪辱を果たし、1年前と同じ沖縄アリーナでファイナル出場の喜びを会場に詰めかけた8,000人を超えるファンと共有できたのは大きな喜びだ。しかし、これで終わりではないと気持ちを早くも切り替えている。「みんながステップアップして、こういう結果を出せました。ただ、来週に2勝しないと意味がないと思っています」
琉球が初のファイナル進出からその先にあるリーグ王者となるためには、どんな状況でもやるべきことをやり続ける。琉球のスタイルを象徴するエバンスが、どれだけ試合にインパクトを与えられるかが大きな鍵となってくる。