琉球の堅守を崩せず、力の差を突きつけられる結果に
秋田ノーザンハピネッツはクラブ史上初のチャンピオンシップ出場を達成し、敵地に乗り込みクォーターファイナルで琉球ゴールデンキングスと対戦した。だが、1試合目は60-74、2試合目は56-77と連敗を喫し、シーズン終了となった。
2試合とも秋田は第1クォーターを互角で終えるも、第2クォーターに突き放されてしまう。そして後半に一時は肉薄するが、そこで追いつき追い越すことができず、最終的には2ケタのリードを許す同じ展開で敗れてしまった。
レギュラーシーズンでリーグ最高勝率の琉球に対し、2試合ともに猛烈な追い上げで見せ場を作り会場を沸かすことはできた。しかし、最終的には共に2桁の点差をつけられて敗北と、チャンピオンシップで勝ち進むには大きな成長が必要であることがより明確になった。
秋田の中心選手である中山拓哉は、チームだけでなく個人としても初のチャンピオンシップを満喫した。「めちゃくちゃ楽しかったです。レギュラーシーズンとは違う雰囲気、8チームしか試合ができない状況でプレーできるのは幸せなことでした」。ただ、「今日の試合でもっとできることはあったと思いますし、課題もたくさん出ました」とリーグ上位との差を改めて痛感している。
「強いチームは波がないです。僕らはレギュラーシーズンの時からビッグクォーターを作られるのが課題としてあって、そこを改善できなかったです。リードされて追いつくのはすごく精神的、体力的にもハードです。そういうゲーム展開にしてしまったのは、まだまだ弱いチームなのかなと思います」
「捨てられた中でうまくそこを生かせなかった」
一方、個人としてのパフォーマンスに関しては持ち味のディフェンスに手応えはあったが、オフェンスでもっとチームを助ける存在になりたいとの思いを強くした。
「ディフェンスの部分では貢献できたのかなと思います。ただ、オフェンスは良くなかったです。捨てられた中でうまくそこを生かせなかった。僕がもっと成長すればチームのオフェンスも良くなる。このオフに自分の課題を突き詰めて、良い方向にしていきたいです」
秋田オフェンスの特徴は3ポイントシュートだが、1試合目は18本中4本成功、2試合目は16本中3本成功と封じ込まれた。また、エーススコアラーのジョーダン・グリンも徹底マークにあって1目戦は7得点、2戦目は12得点に留まると、その穴を埋める選手が出てこなかった。中山は自分が得点を決め切る力があったなら、悪い流れを食い止めることができたと反省の言葉が出る。
「自分ができるアタックをしてオフェンスを展開できたところがあり、全部が悪い訳ではないです。ただ、僕がもっと高確率でプルアップの3ポイントシュートなどを打てていたら相手のディフェンスの状況は変わったと思います。今回でいうとシューター陣、グリンに対してのディフェンスがキツくて、他がもっと点を取らないといけない。そこができていたら、2試合とも違う展開になっていました」
キャプテンを務めるチームの中心として中山は60点、56点と2試合続けてロースコアに終わった責任を痛感している。だからこそ、シンプルながら力強く中山は言い切った。「悔しいので練習を頑張ります」
「チャンピオンシップ初出場を果たすまで長かったです」
特別指定での在籍を含めると、中山は今シーズンが秋田6年目となる。文字通り山あり谷ありの経験を経てのチャンピオンシップ初出場への率直な思いを語る。「B2降格も経験していて、チャンピオンシップ初出場を果たすまで長かったです。キツいシーズンもたくさんありました。でも今回、出られて満足ではなく、これからは毎シーズン、この場に来なければいけない。ただ、長かったと思います」
「クラブとして初のチャンピオンシップ出場ができて、勝率もこれまでで一番高かったですが、勝てた試合もたくさんありました。また、ライバルチームが負けたことによる本当に奇跡みたいな出場の仕方でした。来シーズンは自分たちの力で出場しないといけないです」
秋田にとって2021-22シーズンはチャンピオンシップ出場と1つの大きな壁を乗り越える記念すべき1年となった。中山を筆頭に中心選手の一部は複数年契約を結んでおり、この経験を来シーズンへ繋げていけるのは大きい。各自が今回の悔しさを糧にオフで自分の課題を解決させることが、再びチャンピオンシップの舞台に戻るためには欠かせない。そして中山がシュート力に磨きをかけ、オフェンスでより脅威を与えられる存在になれるかどうかは、大きな注目点となるのは間違いない。
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