名古屋Dとの第2戦は激しい戦いに
川崎ブレイブサンダースは名古屋ダイヤモンドドルフィンズをホームに迎えたチャンピオンシップクォーターファイナルを2連勝で制し、セミファイナルへ駒を進めた。
第1戦は出だしからチーム全体でエナジー全開のプレーを展開し、すべてのクォーターを上回っての快勝となったが、迎えた第2戦は第1戦とは全く異なる内容となった。名古屋Dは第1戦の時点でコティ・クラークとオヴィ・ソコの外国籍選手2人がケガで欠場していたが、第2戦では前日19得点13リバウンドを挙げていたスコット・エサトンがケガで途中離脱したため、外国籍選手3人を欠いた状態での戦いとなった。
川崎は第1戦から先発を変えて、第2戦ではパブロ・アギラールを3番に置くビッグラインナップを起用。対する名古屋Dは、最もサイズがある選手が197cmの張本天傑というスモールラインナップで挑んだ。もちろん川崎はサイズのアドバンテージを生かそうとしたが、名古屋Dの闘志溢れるディフェンスがそれを上回り、川崎は前半だけで10ターンオーバー(名古屋Dは5)を犯した。さらにペイント内の得点でも前半は10-8、リバウンドでは28-19と上回ったがオフェンスリバウンドでは6-6と並び、セカンドチャンスポイントで違いを生み出すことができなかった。また、第1戦での名古屋Dはシュートタッチに苦しんでいたが、この日は3ポイントシュート21本中8本成功(第1戦は18本中3本)と当たっていたため、リズムをつかむことができず、5点リードで前半を終えた。
川崎の佐藤賢次ヘッドコーチが第2戦後に「激しい試合でした。名古屋さんはチーム状況に関係なく本当に魂感じるプレーでしたし、前半はそこに押される形になってしまいました」と振り返れば、アギラールも「タフな試合でした」と続け、自分たちの精神的な部分を正直に明かした。
「相手の外国籍選手がいないことが試合前に分かってしまって、少し油断していた部分があったと思います。そこの綻びが前半に出てしまいました。自分たちが思っていたようなプレーができず、向こうがそれを上回る激しいエナジーで来たのが想定外でしたし、足元をすくわれました」
それでも後半になると川崎は、しっかりと前半の課題を修正した。佐藤ヘッドコーチが「後半はパブロが『俺がリバウンドを取るから、みんなはシュートを打て』と言ってくれて、リバウンドを支配してくれて、最終的にポゼッションでウチが勝っているのでそこが大きかったです」と語ったように、アギラールやニック・ファジーカスを中心にリバウンドを奪いリズムを整えた。そして、第3クォーター中盤にはマット・ジャニングがファジーカスのロングパスからのキャッチ&シュートや自らリバウンドを取ってのシュートなど、3連続3ポイントシュートを決めてリードを広げ最終スコア85-70で勝利した。
「慣れ親しんだ環境の中で大事な試合を戦えるのはプラスになる」
川崎は、千葉ジェッツを連勝で下した宇都宮ブレックスとセミファイナルで対戦する。レギュラーシーズンの順位で川崎が上位のため、セミファイナルもホームのとどろきアリーナで開催できることになった。
川崎はこれまで過去4回のチャンピオンシップ(2019-20シーズンは新型コロナウイルスの影響によりCS開催中止)のうち、3度も宇都宮と対戦してきた。しかし、結果はすべて黒星。Bリーグ初年度は決勝で対戦したが79-85で敗れ、2018-19シーズンはクォーターファイナルで対戦し連敗(57-87、62-89)、そして昨シーズンはセミファイナルで連敗(65-68、78-96)で終わっている。
佐藤ヘッドコーチは名古屋D戦の時から「ポゼッションをコントロールすることが重要」とチャンピオンシップでのポイントを語っていた。そして、宇都宮とのセミファイナルは「よりポゼッションゲームになると思う」と覚悟した上で、宇都宮戦でのポイントに、これまでの対戦戦績を踏まえて『リバウンド』を挙げた。
「昨シーズンのセミファイナル、リバウンドで負けました(第1戦はリバウンド34-46のうちオフェンスリバウンドは7-25、第2戦は27-38)。宇都宮とのレギュラーシーズン最後の試合で負けましたけど(64-68)、あの試合は相手のディフェンスに最後まで対応できなかったというか、こっちの流れになるオフェンスができなくて最終的にリバウンドを取られました。今日もちょっと聞いた話だと(千葉ジェッツvs宇都宮の第2戦)、宇都宮さんはオフェンスリバウンドを22本ぐらい取っていて。今回もポゼッションゲームでしたが、よりポゼッションゲームになると思います」
それでも過去の結果にとらわれるのではなく、レギュラーシーズンで川崎が残した結果に自信を持っている。今シーズンの川崎は平均得点(88.2点)、フィールドゴール成功率(48.5%)、アシスト(24.5本)でリーグ1位の数字を残した。
佐藤ヘッドコーチは「そこに自信を持ってしっかり良いシュートで終わって、相手に余計なポゼッションを与えなければ、絶対にウチの流れに行くと思う」と、チームを信じている。「リバウンドとルーズボール、球際、フィフティ・フィフティのボールを絶対に取り切るメンタルでやる。それでも取られることはあると思うけど、そこで崩れないチームになってここに戻ってきたいと思います」
今までのチャンピオンシップでの対戦は代々木第一体育館で行われた初年度のファイナルを除けば、すべてアウェーでの対戦だ。また、今シーズン中の対戦成績は川崎の1勝2敗となっているが、3試合すべてがアウェーだった。そのため、奇しくも川崎が今シーズン初めてホームに宇都宮を迎える戦いが、チャンピオンシップとなった。
アギラールは「ホームでやれるのはすごく大事で、大きなアドバンテージになります」と語る。「ファンの皆さんの前で、慣れ親しんだ環境の中で大事な試合を戦えるのはプラスになる。今日の試合みたいじゃなく、最初の1秒から集中して試合に入りたい」
川崎がセミファイナルでホームで宇都宮を下して、ファイナルへ駒を進めるためには、『リバウンド』と『会場の後押し』が大きな鍵となるはずだ。
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