終盤の連続セカンドチャンスポイント奪取で逃げ切り
アルバルク東京が3月16日、ホームで秋田ノーザンハピネッツと対戦。終盤までもつれる展開となったが、要所でアタックが光った田中大貴が20得点を挙げ、セバスチャン・サイズが26リバウンドとゴール下の肉弾戦を制したA東京が79-69で勝利した。
試合の出だし、A東京はサイズがオフェンスリバウンドからダンクを叩き込むと、さらに田中のドライブ、小酒部泰暉がオープンになってコーナースリー成功と理想的なオフェンスで11-5とリードする。しかし、秋田はジョーダン・グリンの3本を含め、このクォーターで3ポイントシュート7本中5本成功と長距離爆発で応戦し、第1クォーターは激しい点の取り合いの末、A東京が29-25と先手を取る。
第2クォーターに入ると、秋田は積極的に仕掛けるプレスディフェンスが効いて、A東京オフェンスのリズムを崩す。しかし、A東京も強度の高いディフェンスで秋田にタフショットを打たせシュート確率を下げさせる。互いに持ち味を生かしたディフェンスで失点を減らし、前半はA東京の45-39で終える。
後半の立ち上がり、A東京は簡単に連続得点を挙げリードを2ケタに広げると、秋田は第3クォーター開始1分で早くもタイムアウト。これが効果テキメンでタイムアウト明けから中山拓哉、グリンの3ポイントシュートなど連続11得点で一気に逆転に成功。僅差だが、そのままリードを保って第4クォーターを迎えた。
このまま互いに譲らず一進一退の攻防が続いたが、中盤にかけてA東京は田中、ジョーダン・テイラーとガード陣がゴール下への力強いドライブで得点を挙げ、残り5分で9点のリードを奪った。秋田も川嶋勇人がスティールからレイアップを決め残り2分で4点差と食い下がるが、ここからA東京はアレックス・カーク、サイズの両ビッグマンがそれぞれオフェンスリバウンドからのセカンドチャンスを決めるなど、勝負どころでリバウンド力の差が響き、A東京がそのまま逃げ切った。
指揮官も認める吉井のディフェンス力
A東京の指揮官ルカ・パヴィチェヴィッチは、勝因を振り返る。「非常に大事なゲームで、チーム一丸となって強い戦いをして意味のある勝利を挙げることができました。最も重要なのは、秋田のリバウンドを抑えたことです。我々のビッグマンは素晴らしい仕事をしてくれました。そしてガード陣もしっかりとサポートしました」
ビッグマンに関していうとA東京はライアン・ロシターが3月5日の試合途中で負傷し、戦線離脱中。外国籍3人の内、1人はポイントガードのテイラーであり、ロシターの穴を埋めるには日本人選手のステップアップが欠かせない中、この試合で奮闘したのが吉井裕鷹だ。
196cmのサイズと、この試合でも見せた豪快なダンクに代表される高い身体能力を生かしたダイナミックなプレーで繋ぎ役の仕事をしっかり果たしている吉井だが、指揮官はこのように語る。
「吉井はシーズン序盤からプレーする大きなチャンスがありました。それは彼のポテンシャルが理由ではなく、現在の能力によるものです。彼はストレングスコーチ、スキルコーチとハードな練習を重ねています。しかし、コンディションの問題などで多くの練習に参加できずにいました」
そして、特にディフェンス面での貢献を高く評価している。「彼は攻守の両方でチームを助けてくれていますが、特にクリエイティブな能力に優れたパワーフォワードを相手にしたディフェンスが光ります。三遠のロバート・カーター、新潟のロスコ・アレン、そして今日のグリンと、相手のエースにマッチアップする大きな役割があります。これからも期待していますし、頑張って欲しいです」
A東京は、週末に広島ドラゴンフライズと対戦。相手には昨シーズンのリーグ得点王であるパワーフォワードのニック・メイヨがいる。連勝を伸ばすためには、吉井のメイヨに対するディフエンスも勝敗に少なくない影響を与える要素となってくるはずだ。