大野ヘッドコーチ「選手の成長を感じるゲームになった」
3月9日、千葉ジェッツは幾度となく好勝負を繰り広げてきた宇都宮ブレックスを相手に、93-66の完勝を収めた。
攻守ともに機能したことがこのスコアからうかがえるが、大野篤史ヘッドコーチはブレーク期間に取り組んできたディフェンスでの勝利を強調した。「コロナで試合がキャンセルになる中でもポジティブなモチベーションを持って練習に取り組んでくれたことが、良いゲームに繋がったと思っています。ディフェンスの細かい部分だったり、自分たちが取り組まなきゃいけないところを選手たちが本当にハードワークしてくれました」
また大野ヘッドコーチが「ベンチからコートに入っていく選手も自分の役割、チームの役割、チームとして決められたことをしっかりやってくれた」と語ったように、千葉のディフェンスの強度はどんなメンバー構成でも落ちずに終始機能していた。このインテンシティの高さが勝負を分ける一つのポイントとなったが、泥臭く激しいディフェンスは宇都宮の得意分野でもある。そこで上回ることができたのは、前回の敗戦を糧にしていたからに尽きる。大野ヘッドコーチは言う。
「前回の対戦でズタボロにされたので、宇都宮さんのストロングポイントをしっかり消せるようにと選手に伝えていました。ディフェンスのインテンシティだったり、フィジカル差を強調した感じです。自分たちがやられる時はフィジカルさに嫌気がさして、逃げるようにターンオーバーをしてしまって、ディフェンスも受け身になってしまうところがありました。今日はそういう部分があまり見られなかったので、選手の成長を感じるゲームになったんじゃないかなと思います」
宇都宮のホームで行われた10月27日の対戦では、75-100の完敗を喫していた。見事なリベンジ達成となったが、この結果に大きく貢献したのが原修太だ。原はドライブで先制点を挙げ、続くポゼッションでも3ポイントシュートを沈め、試合の主導権を握ることになった出だしの10-0のランで存在感を放った。守ってはマッチアップした比江島慎をフィールドゴール10本中2本成功のわずか6得点とほぼシャットアウトした。そのディフェンスは大野ヘッドコーチが「本当にトーンをセットしてくれた」と言うほどのパフォーマンスだった。
比江島をシャットアウト「自分の仕事はできた」
原も「出だしをしっかり抑えることが大事だと思っていましたし、昨日の時点で大野さんから『比江島を任せた』と言ってもらえました。比江島選手は本当に器用ですし、フィジカルにやられると絶対に嫌がると思っていたので、自分の仕事はできたんじゃないかなと思います」と語り、自身のプレーに一定の満足度を得ていた。
千葉には日本代表にも選出され『3&D』プレーヤーとして定評のある佐藤卓磨がいる。その中で指揮官は『エースキラー』の大役を原に任せたのだ。原は佐藤のことを「チーム内のライバル」と言い、その上で「卓磨よりも良いディフェンダーだという自信がある」と豪語した。「大きいですし、アグレッシブだし、卓磨も良いディフェンスをするとは思います。でも、もともと自分のほうが良いディフェンダーだと思っています」
原はここまで全試合に先発出場し、プレータイムも日本人選手では富樫勇樹に次ぐ2番目に長い24.6分と、指揮官から厚い信頼を得ている。また、平均得点もキャリアハイの数字(7.0)を残しているように、自信が結果に表れている。
3月12日には川崎ブレイブサンダースとの天皇杯決勝が控えている。原は「多分Bリーグが始まってからの戦績で言うと負け越していると思いますが、別に苦手意識はないです」と語り、さらに宇都宮撃破の経験が生きると大一番に向けてこのように意気込んだ。
「パブロ(アギラール)選手も3番ができますし、マット・ジャニング選手も大きいです。強力な3ビッグの時間帯をどう崩すかが鍵になってくるんじゃないかなと思います。そういった意味では宇都宮さんはスイッチディフェンスを多用してきて、そこを今日は崩すことができました。勝った要因の一つになった、序盤からプレッシャーをかけて相手にプレーをさせいないことを徹底できれば勝てると思います」
一発勝負の試合ではオフェンスの爆発力が結果を左右することが多々ある。当然だが、そのオフェンスを封じることができれば勝利に近づく。チームで最強のディフェンダーを自負する原のディフェンスに注目したい。