ドノバン・ミッチェル

「どれだけ否定しても信じてもらえないから、あまり話さないんだ(笑)」

ジャズは決して派手な存在ではないが、36勝21敗で西カンファレンス4位と好位置に付けている。今年に入って2勝11敗の旧失速があった。この間にエースのドノバン・ミッチェルは脳震盪プロトコルにより長期欠場を強いられ、ゴール下を支えるルディ・ゴベアはふくらはぎを痛めて戦線離脱した。この間には長くチームを支えたユーティリティプレーヤーのジョー・イングルスが今シーズン絶望の大ケガを負い、その後にトレードされてもいる。

それでもミッチェル復帰と足並みを揃えるようにチームはスランプを脱して、現在は6連勝中。直近のロケッツ戦からゴベアも戻って来て、チームはさらに良い流れに乗っていけそうだ。

そのミッチェルが『Yahoo Sports』のポッドキャスト番組に出演し、様々な質問に答えた。その中でも注目すべきは、すでに数シーズン前から噂される、ミッチェルとゴベアの不仲説だ。もともとスター選手同士が良い関係を保ち続けるのは簡単ではない。この2人の場合は、新型コロナウイルスの感染拡大が発端となった。2019年3月、NBAで最初に新型コロナウイルスに感染したのがゴベアであり、そこからミッチェルも感染した。陽性判定を受ける数日前の会見で、ゴベアはテーブルに置かれたマイクを手で直接触る行為を冗談で行っていた。これにミッチェルが激怒したとされ、一時期は会話がなくなったことをゴベアが明かしている。

2人の間に感情のもつれは残っていないが、その後も「不仲を理由にゴベアがトレードされる」との類の噂は何度も出た。このことを質問されたミッチェルは、「どれだけ否定しても信じてもらえないから、あまり話さないんだ(笑)。僕はもともと口数が多くないし、理解されなくても放っておくタイプだからね」と苦笑し、ゴベアについてこう続けた。

「まず第一に、僕たちは良いコンビだと思っている。彼と一緒になるまで、これほど高いレベルでプレーしたことはなかった。だから2人で『僕らはイガみ合っている割に呼吸が合っているよな』って冗談を言っているよ(笑)。それに、まだまだ上を目指せるとも思っている。共通の目的があり、勝つことに集中している。それが一番大事だよね。一緒に仕事をする人たちと、常に最高の友人である必要はないと思っている。僕らはチームのために、共通の目的に向かって全力を尽くしている。僕らは2人とも勝ちたいし、周囲が何を言っているかは気にしていないよ」

ミッチェル自身がNBA優勝の目的を果たすために、ジャズより強いチームに移籍するのではないか、という噂もある。それでも彼は「球団やチームメートに対してフラストレーションを感じることはない。どうやったらもっと勝てるのか、優勝できるのかと考えることはあるけどね。ただ、これは僕が何を言ったところで、そういう噂は出るものだ。『なんか言われてるな』とは思うけど、それ以上は気にしない。今の環境に満足しているし、ここで勝つための方法を探ていくよ」

「僕はNBAで優勝したい。MVPにもなりたい。欲を言えばその両方を、何回か欲しい。僕は毎朝起きるたびに、練習をするたびに『優勝するにはどうすればいいんだ?』、『チームにとって最高のドノバンであるためには何ができるんだ?』と自分に言い聞かせる。そうやって目標に近づいていきたいんだ」

ミッチェルは今シーズンここまで25.5得点、5.2リバウンドと高値安定のスタッツを残しているが、ジャズが上に行くには彼がさらにチームを引っ張る必要がある。脳震盪プロトコルから脱した今、シーズン途中にまとまった休養を取った形となり、コンディションは非常に良いそうだ。ここからシーズン後半、そしてプレーオフと、さらにギアを上げるミッチェルに期待できそうだ。