「時間が必要かなと感じていますが、今までもこうやってチームを作ってきた」
バスケットボール女子日本代表はワールドカップ予選の2戦目でボスニア・ヘルツェゴビナと対戦。リードチェンジを5回も繰り返す接戦の中、一時は11点のリードを奪ったものの第4クォーターで逆転を許し、82-87で敗れた。
日本の大黒柱、髙田真希は試合後に「終始リードしながらの点の取り合いみたいな状況の中で、ディフェンスが上手く行かずに第4クォーターは(ジョンクェル)ジョーンズ選手の守り方が中途半端になって、そこを上手く突かれてしまいました。チームディフェンスをもっと強化しなければいけないという課題が見つかりました」と振り返った。
髙田が言うように、日本はボスニア・ヘルツェゴビナのエースで198cmのサイズを持ちながら機動力に長け、3ポイントシュートも打てるジョーンズに対して、インサイドではダブルチームを徹底した。前半こそ、日本のチームディフェンスはハマっていたが、後半になるとちょっとしたローテーションのズレをジョーンズに突かれてしまい、フリーになった選手へとパスを送られては得点を許す場面が何度も見られた。
髙田は「インサイドだけでなく外のシュートもあるので、守りづらさはありました。オンボールの時も3ポイントシュートを打てる分、自分たちも打つ手をたくさん打たないと守れない。本当に能力の高い選手でした」と、この試合で39分とほぼフル出場ながら最後までプレー精度を落とさずに、36得点23リバウンド4アシスト2ブロックを挙げ、大会MVPに選ばれたジョーンズを称えた。
その一方で日本のディフェンスの反省点をこう続けた。「ジョーンズ選手がポストに入った時にトラップに行く練習はしていましたが、そのディフェンスをする時に少し躊躇してしまったり、ドリブルをつく前に行くのか、ついてから行くのか、誰が行くのかというところで中途半端になってしまいました」
「今日よりもさらに良いチームになることは自分たちも分かっています」
こういった『中途半端なプレー』が生じた理由を、髙田は「自分たちの完成度がまだまだ低い」からだと言う。「正直、日本チームにはまだジョーンズ選手みたいな核となる選手がいるわけじゃないので、チーム作りをしっかりして臨んでいかないと、こういう結果になるのかなと。ただ、しっかりチーム作りをしていけば、今日よりもさらに良いチームになることは自分たちも分かっています。日本は相手よりも高さやフィジカルが劣る分、練習量を増やして、コミュニケーションを取ってチーム力を高めていくことがより必要だと実感しました」
それでも髙田に焦りはない。それは今までの経験から多くを学んでいるからだ。髙田は言う。「とにかく練習が必要になってくるし、合わせる時間が必要かなと感じていますが、今までもこうやってチームを作ってきました。ジョーンズ選手のような選手がいるわけじゃないので、チームとして守って、チームとして攻めるという意味で、時間がかかる部分はあります。今回の短い期間でのチーム作りは参考になりました」
女子日本代表は今大会を1勝1敗で終えた。初戦のカナダ戦は序盤でペースがつかめずに一時は20点ものビハインドを背負ったが、後半には足を使ったディフェンスからリズムをつかみ大逆転勝利を成し遂げた。しかし、続くボスニア・ヘルツェゴビナでは序盤こそシュートが当たっていたが、後半はディフェンスから崩れて逆転負けとなった。このように真逆の試合展開となった2試合を終えて、女子日本代表チームは多くのことを学んだはずだ。今回の経験をワールドカップ本戦でどのように生かしていくのか、今後も注目したい。