林咲希

「コミュニケーションのところでもっと一丸となって戦えていたら」

バスケットボール女子日本代表はワールドカップ予選の2戦目でボスニア・ヘルツェゴビナと戦い、82-87で敗れた。

3ポイントシュートが高確率で決まり、第3クォーターには2桁のリードを奪ったものの、ジョンクェル・ジョーンズにオフェンスリバウンドからのセカンドチャンスポイントを何度も許したことで突き放せず、最終クォーターに失速して逆転を許した。WNBAのMVPプレーヤーであるジョーンズには36得点23リバウンドを奪われた。またアシストこそ4だったが、ダブルチームに来た瞬間にパスアウトし、数的有利な状況を作るなど、ジョーンズが起点となったプレーを最後まで止められなかった。

恩塚亨ヘッドコーチは「オフェンスリバウンドでのセカンドチャンスポイント。ジョーンズ選手のローポストのアイソレーションから、クローズアウトゲームを作って3ポイントシュートを決めてきたこと」を追い上げられた理由を挙げ、「ジョーズ選手にもう少しプレッシャーをかけたいところではありましたが、そこに対してのトレーニング、準備が足りなかったと考えています」と完敗を認めた。それでも、「私も含めコーチングスタッフは経験から学び成長していく力を信じているので、その力を最大限生かせるように、学びの機会として回収していきたい」と語り、次回へのリベンジを誓った。

日本はこの試合で43本中20本(46.5%)の3ポイントシュートを成功させた。チーム最多の7本の3ポイントシュートを決めた林咲希は、後半に失速した理由にコミュニケーション不足を挙げた。「ショットクロックが少なくなる時間帯が後半に多く、そこで自分たちの速さを使ったプレーをコールすることがあまりできなかったです。日本は意思疎通を図って戦えるかどうかが大事で、コミュニケーションのところでもっと一丸となって戦えていたら良かったと思います」

日本は世界一のアジリティを目標に掲げ、ワールドカップ予選を戦った。その中で高速トランジションと3ポイントシュートは大きな武器となったが、林が言うように、日本の最大の武器は選手間で絶えずコミュニケーションを取り続ける一体感にある。だからこそ林は「プレー面だけじゃなくて、コートサイドでもっと声を出してやれる部分はあったと思う。自分たちのバスケができるような状態をもうちょっと自分が作りたかった」と後悔を語った。

恩塚コーチも「チーム内で良いコミュニケーションが増えて、若い選手たちは尊敬する先輩たちとバスケットができる喜びを感じながら熱い気持ちでプレーできていたと思う」と話し、若手とベテランが融合したチームの雰囲気に手応えを得ていた。だからこそ林は「次回はもっと雰囲気を持ち上げていきたい。悪い状態でも一人ひとりがコート上で声を掛け合っているのは自分も感じたので、そこは継続していきながら次は勝ち切れるように頑張っていきたい」と、最後までコミュニケーションについて言及した。

ワールドカップ本選までにさらに成長できるという自信を持つ林はこのように会見を締めた。「負けたけど、一人ひとりが良い課題として次のステップアップに向けて準備をできると思う。負けた直後ですが、もっと試合がしたい気持ちが正直あります。自分もレベルアップしてみんなと切磋琢磨したいですし、強い日本をもっとみんなに見せつけたいと思っています」