安藤周人

ライスとのマッチアップで「ずる賢さも必要」と痛感

名古屋ダイヤモンドドルフィンズは京都ハンナリーズとの第2戦を77-86で落とし、3連勝を逃した。現在の名古屋Dは28勝19敗、ワイルドカード4位とチャンピオンシップ進出の当落線上にいる。連勝を期した京都戦だっただけに、名古屋Dとしては痛い1敗となった。

安藤周人は終盤に突き放された場面でチームプレーができていなかったことを敗因に挙げるとともに、危機感を募らせている。「自分たちはチームバスケができずに止められて、相手に3ポイントシュートを決められました。残り4分くらいで一気に差が開きましたが、ここ数試合はそういうシーンが目立っています。修正していかないと、昨シーズンみたいに勝てなくなってしまうかもしれない」

昨シーズンの名古屋Dは開幕4連勝と最高のスタートを切ったが、中盤に9連敗を喫するなど、大きく負け越してシーズンを終えた。安藤はその嫌な流れを忘れていないからこそ警鐘を鳴らしている。名古屋Dにはジェフ・エアーズ、レオ・ライオンズ、ジャスティン・バーレルと強力な外国籍選手が揃っている。彼らを強調することは決して間違いではないが、それはチームプレーの上に成り立つと安藤は言う。

「京都は(レイヴォンテ)ライス、(デイヴィッド・サイモン)サイモンの2人が個人でやりつつも、チームとしてやるタイミングを分かっています。だから変にタフショットを打たないし、行く時は行くけど行かない時はチームプレーに徹しようとしています。ウチは先を考えずに、とりあえず1対1をやっているように感じてしまいます」

そして、安藤は譲れない持論を展開した。「最終的に個の力も必要だと思います。ただ、個に頼るのは最後にしないと、チャンピオンシップを見据えると上手くいかないんじゃないかと思ってしまいます」

安藤がネガティブなことに目を向けるのは、それだけチャンピオンシップに懸ける思いが強いからだ。さらに言えば、自身の至らなさを痛感したからという側面もあるかもしれない。安藤はライスのマークを任されたが、結果的に24得点を奪われた。この経験を生かしたいという思いがひしひしと伝わってくる。

「当たりすぎるとファウルになるし、身体の当て方がうまいのでそれは勉強にはなりました。疲れてくると特にオフェンスのほうが有利なので、隙を見せて何本かやられたシーンもあり、アンドワンに持っていかれた場面もありました。そこは僕自身も反省です。言い方は悪いですけど、ファウルをした後にファウルをしても吹かれないので、そういったずる賢さも必要だなと思いました」

安藤周人

「相手に危機感を持たせるような選手になりたい」

安藤は2月14日の秋田ノーザンハピネッツ戦で内閉鎖筋筋挫傷を負い、数試合を欠場した。3月20日の川崎ブレイブサンダース戦から復帰を果たしたが、プレータイムに制限が設けられベンチからの出場が続き、本人もまだ本調子ではないことを明かした。

「なかなかコンディションが戻ってこず、今日も走り回っていたのでキツかったです。特に最後のほうは足がフラフラしてました。ケガをする前のほうが安定感はあったし、疲れてくると足が使えていなかったり、変に手だけで打ってしまい、シュートタッチもあまり良くないです」

2018-19シーズンの安藤は3ポイントシュート成功率が40%を超え、平均得点も14.6得点と大きく飛躍した。昨シーズンは3ポイントシュートを打つことにこだわり過ぎてしまい、シュートセレクションが悪かったことで確率を大きく落とした。現在は平均9.1得点、3ポイントシュート成功率は37.3%とまずまずの数字を残している。それでも「決めてる人は40%決めています。37%は低いですし、下手だなって思います」と、本人は全く満足していない。

安藤と言えば、3ポイントシュートを思い浮かべる人も多いはずだが、本人はずっとオールラウンダーを目指している。「言い方がおかしいかもしれないですが、正直シューターと言われるのは好きじゃないです。僕は何でもできる選手のほうが価値があると思っていて、あいつがボールを持つと面倒くさいとか、相手に危機感を持たせるような選手になりたい。3ポイントシュートが40%入っていた時から、そういうスタイルに変えていきたいと思っていました」

安藤が言うように、シューターはスペシャリストのイメージが強く、オールラウンダーとは対極の存在だ。安藤がシューターではなく、オールラウンダーを志した背景には、世界レベルのシューターと対戦してきた経緯がある。「世界のシューターはドリブルができて、パスもできて、個人能力も高いです。その人が動くだけでヤバイって雰囲気があって、僕も考え方を変えないといけないと思いました」

あと6勝を挙げれば、チームはBリーグ以前も含めて過去最高勝率を更新することになる。だが、たとえ記録を更新したとしても、チャンピオンシップに出場できるとは限らない。安藤が声を上げ課題と真摯に向き合い続ければ、自ずと結果はついてくるはず。コンディションを早急に取り戻し、オールラウンダーとして躍動する安藤の活躍が求められる。

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