先週末のリーグ戦で勝利し「しっかりと勢いに乗って天皇杯を迎えられます」
川崎ブレイブサンダースは天皇杯セミファイナル前の最後の試合となる3月7日の新潟アルビレックスBB戦を112-75で勝利した。この圧勝劇の立役者となったのがジョーダン・ヒースだ。第1クォーターだけで10得点を挙げチームに勢いを与えると、勝負の趨勢が決まった第4クォーターはシュートを1本も放たなかったものの、試合と通して24得点に加え、8リバウンド3ブロック3スティールと攻守に渡って大暴れだった。
個人、チームとしてもシーズン最多得点となった勝利をヒースは次のように語る。「今日の試合に勝ち、しっかりと勢いに乗って天皇杯を迎えられます。ここ10試合で9勝1敗とチームの状況は良いです」
調子を上げてきているのは川崎だけでなく、ヒース個人も同じだ。シーズン前半戦は、11月中旬からの1カ月半におよんだ故障離脱も影響してか特に外角シュートで苦戦。昨シーズンは47.1%を記録した3ポイントシュート成功率も、ここまで33.3%に留まっている。
だが、長距離砲も2月に入って徐々に成功率が上がっている。また、ここ10試合で計22ダンクなど、持ち味の機動力と瞬発力を生かしたゴール下での豪快なプレーも目立っている。このインサイドでの活躍ぶりには、次のような背景がある。「今シーズンは、ケガをしてからシュートタッチが良くない時期がありました。そこで他に何ができるのか考えた時に、ペイントの中での仕事をもっとできると思いました。それがプラスに働いてゴール下とアウトサイドで両立できていると思います」
自身の状態が悪い時でも、自分が貢献できることに真摯に取り組む。チーム第一のハードワーカーであるヒースの人柄が、今のインサイド、アウトサイドの両方における充実ぶりを導いている。そして、今の状態には大きな手応えを感じている。
「コンディションは良く、パフォーマンスは上がってきています。次の試合に向けて準備はできています。それに加えてコーチ陣が僕のことを信じ、モチベーションを高く保てるようにしてくれているのが、今の好調に繋がっていると思います」
昨年の天皇杯について「ずっとこの負けは頭の片隅にあります」
いよいよ迎える天皇杯だが、昨年の大会では故障者の影響もあり4日間で3試合の過密日程の中で、ヒースはベスト8で38分2秒、ベスト4で37分35秒、決勝で40分フル出場となった。その中でも豊富な運動力でプレーの強度を落とすことなく攻守で躍動し、MVP級の活躍を見せていたが、優勝にはあと一歩届かなかった。
この悔しさは、ヒースの中に今でも消えることなく残っている。「昨年は強豪チームを撃破して決勝までいきましたが、あと一歩でサンロッカーズ渋谷に敗れてしまいました。オフシーズンの間だけでなく、シーズンに入ってもずっとこの負けは頭の片隅にあります。天皇杯優勝は今シーズンの目標の一つであり、今回はしっかり勝ちたいです」
普段は寡黙で控えめな言動のヒースは、天皇杯に向けての気持ちを失地回復や雪辱への強い想いを示す『Redemption』と表現する。「昨シーズンはリーグ戦も最後まで戦えず、誰がチャンピオンか分からないまま終わりました。今年は自分たちが王者になれることを証明したい」
心の奥底でメラメラと燃えている彼の闘志とタイトルへの強い想いがコート上で爆発した時、川崎の王座奪還が現実のものとなるはずだ。
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