マジックの勝利、プレーオフ進出に専念
2016年にトロントで行われたNBAオールスター。そのスラムダンク・コンテストでアーロン・ゴードンはその名を全米に広めた。ゴードンとザック・ラビーンの対決となった決勝で、延長ラウンドを含め両選手トータル8本のダンクを披露。4本連続50点満点を叩き出したラビーンの勝利となった。ただ、50点満点を連発した両者ともに優勝に相応しいとの声も多く、特にマジックのマスコット『Stuff』にゴール下でボールを持たせ、その頭上をジャンプで越えながらボールを足の下に通して決めたワンハンドのリバースダンクは、会場の興奮度では一番だった。
そのゴードンは昨年のスラムダンク・コンテストで、NBA選手で最も身長の高いタッコ・フォールに協力を依頼。228cmの『タッコ越え』というド派手な一発を叩き込んだ。物議を醸した判定の結果、惜しくも優勝は逃したものの、観客のハートを鷲づかみにする一発だった。これを目の前で見ていたヤニス・アデトクンボは「50点満点じゃ足りない。70点だ」とコメントしている。
ゴードンはその大会を最後に、スラムダンク・コンテストからの引退を宣言。「ダンクコンテストはアイデアを考えて練習もかなりやらなきゃいけないから大変なんだ。これからはマジックの勝利、そしてプレーオフ進出にその力を使う」と語った。
今年のスラムダンク・コンテストにゴードンは出場しない。ただ、彼はダンクへの情熱を『Mr.50』と題した映像作品にして公開している。そこで映し出されているのは、「ダンクをする時にはパスを出してもらう。依頼するのはチームメートだったりファンの子供だったり様々だけど、誰かと一緒にダンクを作り出すのは最高に楽しいよ」と語るゴードンであり、コンテストに向けた練習に打ち込むひたむきな姿と、そして練習場での失敗を繰り返した後に本番で決める豪快なダンクだ。
彼はスラムダンク・コンテストで優勝していないが、間違いなく大会のレジェンドとして記憶される。「50点満点を出し続けたことで、他の選手が尻込みして参加しなくなるんじゃないかと少し心配だよ」と彼は言う。
「でも、これまでの僕のダンクからインスピレーションを受けて、まだ見ぬダンクをやれるスキルを持つ選手が出てきて、大会がもっともっと盛り上がることを願っている。そこに僕は加わらないけど、誰かがそれをやってほしい。スラムダンク・コンテストは最高のイベントだからね」