渡邊は16分の出場で得失点差+12と守備で勝利に貢献
ラプターズはグリズリーズと対戦。ラプターズでブレイク中の渡邊雄太にとっては、古巣との対戦となった。
ラプターズは第1クォーター途中にエースのカイル・ラウリーが背中の張りを訴えて8分しかプレーできず、前半こそ食らい付いたが後半に入って少しずつリードを奪われる展開に。第3クォーター残り3分にはヘッドコーチのニック・ナースが2度目のテクニカルファウルをコールされて退席処分に。この時点で10点ビハインドと苦しい状況に追い込まれた。
前半は8分間プレーしていた渡邊が再びコートに送り出されたのはその後だ。点の取れる選手としてフレッド・バンブリートを残しつつも、渡邊にクリス・ブーシェイ、テレンス・デイビスとセカンドユニットの選手がディフェンスを引き締めることで流れを引き戻すと、インサイドに仕掛けてはファウルを誘い、ワイドオープンのチャンスもきっちりと作り出して、クォーターをまたいで19-5のランで逆転に留まらず2桁のリードを奪った。
渡邊は持ち味であるフットワークの良いディフェンスでグリズリーズに攻めのリズムを作らせず、またタイミング良くゴール下に飛び込むことでイージーなリバウンドを確実に押さえていく。攻めではあまりボールが回って来ず、リングにアタックしながらパスする相手を探し、迷ったまま中途半端なシュートを放って決められない場面もあったが、第4クォーター序盤の一気に逆転する大事なシーンでチームのパスワークに絡み、パスカル・シアカムの3ポイントシュートをアシストしてもいる。
残り6分で渡邊がベンチに退いた時点で7点のリード。グリズリーズはエースのジャ・モラントに第4クォーターの得点がないなど攻守に勢いが戻らなかった。結果、ラプターズが最終スコア128-113で勝利している。
渡邊は16分のプレーで、得点こそなかったが7リバウンド1アシスト1スティールを記録。出場していた時間の得失点差は+12と、得点がなくてもチームに貢献していたことが分かる。得点はバンブリートとシアカムがそれぞれ32得点、ノーマン・パウエルが29得点と先発陣に偏ったが、得失点差では渡邊だけでなくブーシェイが+20、デイビスが+16、ディアンドレ・ベンブリーが+13とセカンドユニットの選手たちが流れを引き寄せたことが直接的な勝因となった。
バンブリートは「今日はディフェンスの勝利だったね」と満足気に語る。「前半に70失点はやられすぎだし、いろいろ問題はあったけど、試合中に修正することができた。一気に逆転した場面ではよりアグレッシブに、ボールとシューターへのプレッシャーを強めようとした。僕らが仕掛けることで相手のミスを誘うことができたと思う」
そして彼はもう一つの勝因が指揮官の退場だとジョークを飛ばした。「テクニカルがチームに刺激を与えることもある。さすがニックだよ。最高のタイミングで退席処分を食らって、あれを機に僕たちのプレーは良くなった(笑)」