栗原が6本の3ポイントシュートを含む20得点でチームを牽引
リオ五輪がいよいよ開幕。AKATSUKI FIVEがベラルーシに競り勝ち、予選グループの初戦を制した。
先制したのは日本。ティップオフで渡嘉敷来夢が競り勝ち、吉田亜沙美から間宮佑圭のハイローが決まる。続くベラルーシの攻撃を栗原三佳がよく走ってオフェンスファウルを誘い、渡嘉敷がミドルシュートを沈めて4-0と好スタートを切った。
それでも高さに勝るベラルーシをそのまま突き放すことはできなかった。195センチの長身に加え幅もあるアレーナ・レフチェンコを中心としたインサイドは強力で、ブロックショット連発で勢いを止められると、3ポイントシュートが当たったこともあり第1ピリオド中盤で15-21とビハインドを背負う。
しかし、ハイテンポな打ち合いはスピードに勝る日本の望むところ。本川紗奈生がショットクロックのないところでドライブインからのレイアップで追い上げムードを作ると、吉田が緩急を生かした鋭いドライブからバスケット・カウントをもぎ取るプレーで逆転に成功。栗原の3ポイントシュートで26-21として第1ピリオドを終えた。
第2ピリオドはセカンドユニットの時間帯に。町田瑠唯、近藤楓、長岡萌映子がそれぞれ持ち味を発揮する。リズムは良いがリバウンドが全く取れない展開で一時は逆転を許すも、近藤の3ポイントで再びリードを奪って持ちこたえる。高さでは劣るも技術とスピードでは完全に日本が上回った。さらには吉田と町田、2人のポイントガードがしっかりと勝負しながらもミスをせず攻撃をリードし、41-40とリードして前半を折り返す。
第3ピリオド、ファーストプレーで栗原がショットクロックのない難しい3ポイントシュートをねじ込むも、ここからベラルーシの時間帯。リバウンドで負けていることに加え前半にはなかった連携ミスも出たことで、46-42から0-11のランを浴びて突き放される。
それでも日本はここで慌てず、自分たちのバスケを貫いた。素早いパス回しからの栗原の3ポイントシュートで相手の連続得点を断ち切ると、速攻から吉田が繋いで栗原がまたも3ポイントシュートを決め、52-53と一気に挽回する。ベラルーシはタイムアウトを取るも日本の流れは途切れず。吉田がドリブルで揺さぶり、ゴール下でフリーになった渡嘉敷がイージーシュートを決めて54-53と逆転に成功。チームサポートを受けた渡嘉敷がリバウンドを拾えるようになり、相手の長所を消したことが大きかった。
吉田がファウルトラブルに屈せずビッグプレーを連発
60-60で迎えた最終ピリオド。3ファウルでベンチに下がった吉田に代わり、町田がしっかりゲームを作って長岡、髙田の得点をアシスト。だが、ここまでの点の取り合いとは一転、第4ピリオドはディフェンス合戦。6分を経過して日本が4点、ベラルーシが2点を挙げただけで、スコアが動かない我慢の展開となる。
そんな中、吉田が4つ目のファウルを犯してファウルトラブルに。日本に緊張が走るも、内海知秀ヘッドコーチはキャプテンをプレーさせ続ける選択を下す。その吉田が、試合終盤に勝利を呼び込むプレーを連発した。
3ポイントシュートで64-65と逆転された直後、吉田は渡嘉敷のジャンプシュートをアシストすると、自らリバウンドを拾って長岡の3ポイントシュートをアシスト。サイズのある選手が3ポイントシュートを決める、ベラルーシのお株を奪う長岡のビッグプレーが、息詰まる接戦から日本が抜け出す第一歩となった。
試合時間残り1分を切って、吉田はさらに回転数を上げる。最前線から鬼のスティールを決めると、独走でのレイアップを沈めて71-68。さらには相手に触れさせる気配を感じさせないボールコントロールで相手を揺さぶり、ゴール下の渡嘉敷を完全フリーの状態にしてアシスト。最後のファウルゲームでは計4本のフリースローを1つも落とさなかった。結果、77-73で日本が勝利した。
栗原はゲームハイの20得点、吉田は8アシストに加えオフェンスリバウンド7を記録した。フィールドゴール率は終盤に下げたものの65本中29本で45%、3ポイントシュートは栗原の6本を筆頭に、16本中8本の50%と高い数字を残している。
接戦ではあっても、日本はほとんどの時間帯で主導権を握って自分たちのペースで試合を進めており、「勝つべくして勝った」と言える。リバウンドでは26-44と差を付けられたが、コートを広く使ってボールも人もスピーディーに動く「走るバスケット」を展開。吉田を中心に、活躍すべき選手が持ち味を発揮したという点で、しっかりと準備期間を取り、チームとしての連携を作り上げて本大会初戦に臨むことができたメリットが、この試合でもはっきりと見て取れた。また、各ピリオドの頭にしっかりと得点したことも、相手を勢いに乗せない要因となった。
FIBAランキング16位の日本が10位のベラルーシを撃破。だが、次の対戦相手であるブラジルは7位、さらにはトルコ(10位)、オーストラリア(2位)、フランス(4位)と続く。もっとも、12チームしか参戦できない五輪で、格上との対戦が続くのは当然のこと。メダル獲得への道のりはまだ長いが、今回の勝利で「自分たちは世界と渡り合える」という自信を持てたはずだ。