名古屋ダイヤモンドドルフィンズはBリーグ開幕から毎シーズン勝率を上げていたが、今シーズンは17勝24敗と負け越したままシーズン終了を迎えた。名古屋Dで在籍7年目を迎え、先発ポイントガードを任される笹山貴哉に、今シーズンを振り返ってもらい、そして今後の名古屋Dに必要なことを聞いた。
「まずはケガをしない身体作りをしています」
──今はクラブの練習施設を使えている状況ですか?
チームとしての活動はまだですが、練習施設は最近使えるようになりました。他の選手と時間帯が被らないように、1人ずつのローテーションで個人練習をしています。
僕はフィジカルトレーニングをメインに身体の基礎を作っています。ボールも使いますけど、ハンドリングとかの基礎しかしていないですね。今年はオフが長いですし、シーズンがいつ始まるのかもはっきりとは分からない状況なので、焦っていきなりバッとトレーニングをしてケガをしたくもないので。チームとしても毎年、ケガ人で悩まされている部分はあるので、まずはケガをしない身体作りをしています。まあ、バスケットができない時はウズウズしていましたね。
──家で過ごす時間が長くなっていると思いますが、どのように過ごしていますか?
もともと料理はあまりしていなかったんですが、暇すぎてついに料理を始めました。たまにですけど(笑)。得意料理と言えるようなものもないですが、この間、カレーグラタンを作ったらめちゃくちゃ美味しかったです。なので、僕はたぶん料理できますね。でも、このチームで料理と言えば(張本)天傑さんで、料理枠がチームに2人いたらややこしいので、僕はエセ料理というか、今はお家時間があるからやっているだけです(笑)。
──今シーズンの名古屋Dは17勝24敗でした。ケガ人も多くて苦しいシーズンだったと思いますが、ポイントガードとして、またチームリーダーとして難しかった点はありますか?
僕としては、ジャスティン・バーレル選手が抜けたことがすごく大きかったです。落ち着きたい時とかボールを集めたい時に彼がいなくて、選択肢がすごく狭まってしまいました。他の選手も選択肢がなくなったことで『どうしよう』となっているのが分かりました。ただ、そういう選手がいなくなった時が課題だと明確になりましたし、そこで打開できる力が自分には必要だと感じました。
「地区優勝したいという気持ちが前に出すぎてしまった」
──個人的にはどんなシーズンでしたか?
シーズン序盤はチームはちょこちょこ勝てていましたが、個人的には全然ダメでした。昨シーズンよりも絶対に良い結果を残さないといけない、という変なプレッシャーもあったりして。僕自身もチームとしても2年連続で同じところでコケてしまっていたので、それを必ず越えたい、地区優勝したいという気持ちが前に出すぎてしまったと思います。
変に考えすぎてシュートが入らなくなったりして、躊躇した部分もありました。ただ、やっぱりシュートは打たないと入らないのですごく練習しましたね。それで徐々にシュートが入るようになってきたところで、シーズンが終わってしまいました。
──シーズン終盤では2桁得点を挙げる試合も増えて、それがチームの勝利にも繋がっていたようです。
そうですね。僕の持ち味は得点もある程度取りに行って、その中で仲間を生かすことだと思っています。そこはやり続けないと上手く噛み合わない部分でもあるんですが、攻めながらアシストする、仲間を生かすというところはだいぶ慣れてきました。
自分よがりになってもいけないので、仲間が何をしたいのかを聞くようにしています。今シーズンは特に安藤(周人)選手が厳しいマークを受けていたので、周りの選手がいかに上手に動くか、どう合わせるかを強調したシーズンでもありました。
──確かに安藤選手へのマークはすごく厳しくなっていましたね。
悩んでいるのも分かっていましたが、彼自身の考えもあると思うので「こうした方が良いんじゃない?」と思うことがあっても、全部は言わないようにしていました。彼もインタビューで「自分よがりになっていた」というようなことを言っていましたが、その気持ちが出てくること自体が僕はすごく大切だと思うんです。エースとしての自覚が芽生えてきたというか、頼れる存在になってきているし、もっとすごい選手になるとも思っています。
彼が乗り越えなければいけない課題自体が、一握りの選手にしか得られないものです。安藤選手はその一握りの中にいるし、実力もある選手なので僕たちがアドバイスをして乗り越える部分もあれば、自分自身で乗り越えなければいけない部分もあると思うので、上手くサポートしていきたいですね。
「メンバーが変わらない強さを生かさないといけません」
──名古屋Dは主力選手の残留がすでに発表されています。チームを指揮するのはヘッドコーチですが、選手自身としても自分たちで変えなければいけない部分は見えていますか?
まずは個人スキルを上げることが大切だと思います。集団スポーツだけど最後は個々の力が必要になってきますし、強いチームは個々のレベルが高くて集団になった時に、もっとすごい力になると感じました。それなりのチームが本当に強いチームに変わるには、フィジカルも含めて個人的なスキルアップは必要です。
──「それなりのチーム」と言いましたが、笹山選手の中では名古屋Dはそういう立ち位置ということですか?
そうですね。言い方は悪いかもしれないですが、本当に強いチームがいるステージにはまだ僕自身もチームとしても立てていないと感じています。僕たちは前半に大量得点を奪っても、後半に追いつかれて最後に接戦になって勝ちきるような試合もありましたが、そこが本当に強いチームとの違いだと思っています。強いチームは1試合を通して強くて、メンバーが代わっても戦力は変わらずに一定の点数を守り続けることができるけど、僕たちにはまだその力がありませんでした。
2月の千葉ジェッツ戦は1勝1敗でしたが、自分たちのバスケットを貫いて良い戦いができました。僕たちは強豪チームと戦うことができるチームではあると思っています。ただ、それを1シーズンを通してやらなければいけません。タフなことですけど、それがこれから先の名古屋Dに必要なことだと思うので、僕自身もリーダーシップをとって、コート内外で影響力を持っていかないといけないと思っています。
──その一歩を越えることは簡単ではないですが、主力メンバーが変わらないことは強みでもあると思います。
すごく強い覚悟は必要だと思います。来シーズンは2地区制になったり、レギュレーションも変わるので、どのチームも最初は手こずる部分があると思います。その面でウチは、メンバーが代わらない強さを今シーズン以上に生かさないといけません。
──最後にファンの方へのメッセージをお願いします。
今シーズンもたくさんの応援をありがとうございました。僕を含めて、チーム全員が不完全燃焼なシーズンになったと思っているので、この思いを来シーズンどれだけぶつけられるかは、今のオフシーズンに懸かっていると思うし、僕たちもそれに向けて意気込んでいます。今は苦しい時期ですが、これを乗り越えて、皆さんの前でプレーできることを心待ちにして頑張りたいです。
僕自身としては、チームを勝たせられるポイントガードになること、チームを助けられる存在になれるように、名古屋Dの古株としてもコート内外でチームを引っ張れる存在になりたいので、応援よろしくお願いします。
勝利に対する気持ち、そして名古屋Dを本当に強いチームにしなければいけないという覚悟を感じました。来シーズンこそ、笹山選手の言う「強いチームがいるステージ」に立ってほしいですし、みんな待っているはずです!#Bリーグ #ドルフィンズhttps://t.co/WPA76Q9CNj pic.twitter.com/MFOCsxigWC
— バスケット・カウント (@basket_count) May 22, 2020
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