ラスト6分25秒間を20-0とし、大逆転勝利
10月6日、川崎ブレイブサンダースは宇都宮ブレックスとの第2戦に臨んだ。第3クォーターに主導権を奪われ、14点のビハインドを背負って最終クォーターを迎えたが、ここ一番でディフェンスの集中力を最大限に高めて反撃の糸口を見つけると、それに呼応するかのように高確率でシュートを沈め続け、75-69の逆転勝利を飾った。
佐藤賢次ヘッドコーチは逆転勝利となった要因に「篠山(竜青)、藤井(祐眞)、長谷川(技)とディフェンスを武器としている選手を出して、相手のリズムを崩せた」ことを挙げている。
特に藤井は誰よりもタフなディフェンスを貫き、スティールから速攻に繋げるなど、第4クォーターだけで5アシスト2スティールを記録。結果的に藤井が出場したラスト6分25秒間で20-0と圧倒し、逆転勝利の立役者となった。
藤井は「40分間自分たちのバスケットを続けたら絶対に最後は勝てるし、相手のほうが疲れてくる。それができて良かった」と、我慢の勝利であることを強調した。
ディフェンスで耐えて逆転する勝ち方は、宇都宮の得意パターン。それだけに藤井も「リバウンドも強いし、宇都宮は一番ハードにタフに戦ってくるチーム。昨シーズンのチャンピオンシップで大敗した相手ですが、逆に相手のお株を奪うようなディフェンスができたところは自信に繋がります」と、勝利の価値を誇る。
「まだまだ僕らは強くなれる」
もっとも、痛快な逆転勝利ではあっても第3クォーターに大きく突き放された点は無視できない。藤井も勝利の余韻に浸るのではなく、こうした課題に目を向ける。
「第3クォーターの流れが悪く、僕が交代で出た時にギアを上げて流れを変えることができたら、あそこまで苦しい展開にならなかったです」
藤井がそう指摘するように、劣勢を強いられた場面で藤井はハンドラーとしてコートに立った。だが、宇都宮の激しいディフェンスの前に打開策がなく、違いを生むことはできなかった。
「オフェンスで明確な攻めどころが見いだせず、重たくなってしまいました。ディフェンスも悪くはなかったですけど、自分がもっとできれば良かった」と、己を責めた。
また、先出し開幕戦では佐藤コーチが目指す『フルスロットル』の激しいディフェンスが序盤から体現されたが、この試合では、どこかそのインテンシティが足りないように映った。
「チームとしてのゲームプランに頼りすぎてしまったという感じです。システムを意識しすぎてしまって、1対1のところでソフトになってしまった。ハードにやることはベースで、なおかつゲームプランを遂行しなければいけません」
「これから58試合戦って、その先の優勝を目指したい」
少なからず課題はありながらも、宇都宮を相手に連勝することは簡単ではなく、生まれ変わった川崎は開幕早々にその強さを証明したと言える。それでも「まだまだこれからだと思います」と藤井に慢心は一切ない。
「まだまだ僕らは強くなれると思っていますし、これが完成ではないと思っているので。最後の4クォーターみたいなディフェンスを40分間通してやることが、僕らの今シーズンの理想の形です。これから58試合戦って、その先の優勝を目指したいです」
今後、新戦力がさらにフィットし、ケガ明けの辻直人のパフォーマンスが上がってくることで、川崎は今以上に強いチームになることが予想される。その『完成形』が見えているからこそ、藤井は現状に満足せず、向上心を持ち続けているはずだ。
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