ミスマッチを執拗に突かず「いつもどおり」を選択

島根スサノオマジックは、2026-27シーズン開幕戦となった9月23日のアウェー長崎ヴェルカ戦に89-64で快勝した。インサイドの要となるアキル・ミッチェルが開始4分でコートを去った長崎に対し、島根はトータルリバウンドで55-36と大きく優位に立ち、セカンドチャンスポイントでも25-5と圧倒した。

試合中のアクシデントへのアジャストは、当該チームのみならず相手チームにとってもリズムが乱れる要因になりがちなものだったが、この日先発ポイントガードとしてコートに立った岡田侑大のゲームメークはスマートだった。岡田は長崎のイレギュラーなディフェンスの特徴をつかみながら、ニック・ケイにインサイドのミスマッチを突かせ、相手がそれに対応してくれば自ら点を取りに行き、今シーズンから加入したデクスター・デニスにも適切にボールを委ねた。そしてチーム最多の29分7秒出場で、20得点6アシスト0ターンオーバーという素晴らしいスタッツを記録した。

岡田はこの試合におけるゲームメークの意図を次のように話した。「ニックもジェイ(ジョーダン・ヒース)もセルフィッシュなプレーヤーではないですし、インサイドのミスマッチをずっと狙ってゲームを重たく作るということはあまりしたくなかった。だからそこを徹底して突くというよりは、いつも通りのバスケットで優位に立ちたいよね、と、ハーフタイムに自分とニックとで話し合っていました」

ペータル・ボジッチヘッドコーチは、岡田について「昨シーズンからリーダーシップや他の選手を生かし、成長させる力を示してくれました。今夜も成熟したバスケットボールを展開し、チームを牽引してくれました」と言ったのち、「彼のディフェンスについても強調したいです」と続けた。「トランジションを止めるために必要な場面でファウルを使ったり、1対1を抑えたりと、去年から大きな成長を見せてくれています」

ボジッチヘッドコーチの指揮官のディフェンスに対する評価の最たる表れが、長崎のエース馬場雄大に岡田をマッチアップさせたことだろう。指揮官の称賛の声に反して本人は「今日はコーチ陣が求めているディフェンスは正直できなかった」と振り返ったが、「今までなら自分が馬場さんにつくことは絶対になかったと思うし、チームの『ディフェンスをしてほしい』という気持ちは伝わってくるので、それに応えられるシーズンにしたい」と話し、「まずは明後日の試合でしっかり切り替えてやらないと」と25日に再び訪れる長崎戦での挽回を誓った。

岡田侑大

デニスやヒースの加入で「崩れにくいチームになる」

島根は昨シーズンより指揮官と主力を入れ替え新たな出発を切ったが、ケガ人が続出した影響などもあって28勝32敗、西地区8位という悔しい結果で終わった。今年も開幕から北川弘、飯尾文哉、介川アンソニー翔、新井翔太がケガで欠場するという苦しい状況になってはいるものの、ボジッチヘッドコーチは就任時から志向する、強度の高いディフェンスからハイペースで攻め切るバスケットについて「今のメンバーを見ると実現に近づいている」と一定の手応えを持っている。

岡田も今シーズンの編成についての印象を語った。「ジェイがいるだけで相手のビッグマンやガード陣がシュートを外してくれたり、ブロックを気にしてターンオーバーになるケースがプレシーズンからよく起きています。オフェンスでは自分やデックス(デニス)が目立つかもしれませんが、シュン(上田隼輔)やジェイが固い守備をしてくれることでチームのリズムが生まれているし、デックスはオフェンスだけでなくディフェンスもかなり良いので、攻守で崩れにくいチームになるんじゃないかと思っています」

セカンドハンドラーとしてもプレーでき、攻守の能力の高いデニスが加入したことで、得点面での負担が減り、新たなチャレンジに取り組める環境が整いつつある今シーズンの岡田。見据えるのはポイントガードとしてのさらなるステップアップだ。

「ここ数年は点数やフィールドゴールのパーセントにこだわってやってきましたが、今年は勝たせるポイントガードになりたいと思っていて。デックスのおかげで自分1人で背負うこともなくなったので、本当に勝つためにどうゲームメークするかというのを考えていくシーズンになっていくのかなと思います」

25日の試合では長崎からの警戒がいっそう高まるだろう。「Bリーグで一番といっていいくらい守られたくない選手」と話す馬場からマークされる時間帯も増えるかもしれない。タフな状況に際した岡田がそこでどのようなアンサーを出し、フロアリーダーとしてチームを勝利に導くかに注目したい。