桶谷HC「2回も奇跡的な負け方をしているのは有利に」
5月2日、琉球ゴールデンキングスはアウェーで宇都宮ブレックスと対戦。残り2分半で7点リードと優位な状況だったが、そこからターンオーバーを連発し82-83と痛恨の逆転負けを喫した。
互角の展開で迎えた第4クォーター、琉球はヴィック・ローがオフバランスでのタフショットをねじ込む決定力を発揮して抜け出し、残り22秒で1点リードと勝利目前となる。だが、ここからファウルゲームを仕掛ける宇都宮のトラップディフェンスに、ローがまさかの2ポジション連続でターンオーバーを犯した。その結果、残り1秒で勝ち越しを許して敗れる悪夢の結末となった。
琉球は今年の3月に行われたEASL(東アジアスーパーリーグ)のセミファイナルでも、宇都宮と一進一退の激闘を繰り広げながら、3ポイントシュートの爆発に屈して惜敗。そして今回の敗戦と、宇都宮相手にあと一歩で勝ちきれない展開が続いている。
琉球の桶谷大ヘッドコーチは「コーチを20年やっていますが正直、こんなやられ方で負けることはなかなかないです。これがチャンピオンシップ前で良かったと思えるようにしていきたいです」と語る。
EASLに続き今回と、2試合連続でめったにない負け方をしたことで宇都宮に苦手意識を持ったとしても無理はない。それでも指揮官は「もし、チャンピオンシップでまた戦うとなった時、2回も奇跡的な負け方をしているのは、僕たちにとって有利になると思います」と逆の見解を示した。
「どっちも同じような展開であと1点取ったら勝てたような試合です。EASLでは第4クォーターだけで9本の3ポイントシュートを決められましたが、これはなかなかできないです。今回はクロージングで、相手のチームファウルが溜まっていなくて、ファウルするためトラップに行くしかない状況での連続スティールでした。同じシーズンで、同じ相手にこういうことが起こるのはめったにないことです。ただ、そういう状況からしっかりと勝ちに持っていくブレックスさんはすごいです」

「強いチームには、今の自分のような役割の選手が必要」
この試合、12得点と活躍した佐土原遼も桶谷ヘッドコーチと同じ考えで、「ここ最近、ブレックスさんに僅差で負ける試合が続いていますが、対抗意識はあってもそんなに苦手意識はないです。みんなも同じだと思います」と語る。
今シーズンから琉球に加入した佐土原は、昨シーズンにファイティングイーグルス名古屋で平均12.8得点と活躍。鳴り物入りで加入したが、琉球での新しい役割にうまく適応できずに苦しんできた。だが、終盤に入って確かな変化が生まれている。「シーズン最初に比べたら手応えを感じています。チームメートはどういうプレーをすれば自分が生きやすいのか分かってきて、コーチ陣から信頼してもらえているとすごく感じます。最近は自分の持ち味を出せるようになってきています」
昨シーズンの佐土原はFE名古屋のエースとして、ボールタッチの多い選手だった。しかし、琉球では逆で、ボールにあまり触らない中でチームに貢献することが求められる。この違いに「ボールを触っていないとムズムズする感覚がありました。コーナーでパスが来るのを待っていたり、ダンカーポジションに合わせて入る動きで、チームに貢献できているのか。昨シーズンは平均で2桁得点を挙げていたので、自分の中で葛藤していた部分もありました」と、悩んだ時期もあった。
しかし今は「強いチームには、今の自分のような役割の選手が必要という解釈です」と、迷いなく自分の役割にフォーカスできている。「4月22日の川崎(ブレイブサンダース)戦、25日の佐賀(バルーナーズ)戦と続けて1本もシュートを打たない時がありました。それでも得失点ではプラスになっていました。2点しか取っていないのに、得失点でチームトップの時もありました。こういう経験があって、ここに来て成長できていると思います」
実際、桶谷ヘッドコーチは、「サド(佐土原)はスペーシングの取り方がうまくなっています。加入当初は3番ポジションのハンドラーとして、いろいろなことがやりたかったと思います。今、少しずつそれもやれてきていますが、4番でダンカーポジションに入ったりなどマルチな役割を受け入れてくれています。本当に今はこちらとしても出しやすい選手になっています」と言い、佐土原に大きな信頼を寄せている。
新天地での新たな役割に適応した佐土原は、「自分の役割はいろいろあるので、それを1つでも多く遂行できたらチームがより良い方向に進める。オフェンス、ディフェンスともに、試合の流れを大きく左右するポジションにいると思うので、チームを勝たせる気持ちで明日、そしてチャンピオンシップに入りたいです」と意気込む。
得点の量産など目立つことはなくても、縁の下の力持ちとしてチームに大きな影響を与えることはできる。日本人エースになれる実力がありながら、エゴを捨て黒子に徹することで進化を遂げた。「ベンチから出場することでXファクターになれる要素はすごくあると思います」と語る佐土原は、チャンピオンシップで琉球が勝ち進むためのキーマンとなる。
