
エドワーズとゴベア抜きのラインナップで試合を決める
ティンバーウルブズは開幕からまずまずのスタートを切ったが、シーズン序盤は対戦相手に恵まれ、格下に大勝することはあったが強い相手との接戦を落とすのは決して良い傾向とは言えなかった。チームの核は昨シーズンから変わらないが、指揮官クリス・フィンチは良いラインナップを見いだせずに試行錯誤を続けていることを認めていた。
現地11月29日にはセルティックスとの接戦に競り勝ったが、残り14秒で勝利を決定付けたアンソニー・エドワーズの3ポイントシュートは、ハンドリングのミスで一度ボールをこぼして、苦し紛れで放ったもの。「ただのラッキーだった。フリーの(ジュリアス)ランドルにパスするべきだった」とエドワーズがコメントしたように、気持ちの良い勝利とは言えなかった。
その翌日のスパーズ戦で、ウルブズの攻守はついに噛み合った。第3クォーターまでは点差は離れなくてもスパーズの時間帯がほとんどで、リードを許す苦しい展開だった。しかし、第4クォーターの頭から、エドワーズをベンチに戻して、マイク・コンリーとドンテ・ディビンチェンゾ、ジェイデン・マクダニエルズ、ジュリアス・ランドル、ナズ・リードのスモールラインナップを採用すると、そこからの5分半で21-7のランで一気に逆転した。
「速くプレーし、相手を止め、攻撃ではボールを動かす。それだけのことなんだ」とランドルは言う。ウルブズの時間帯はマクダニエルズを中央に置くゾーンディフェンスから始まった。これをランドルが解説する。「スパーズはピック&ロールで(ディアロン)フォックスのようなボールハンドラーが攻めてくることはわかっていた。ジェイデンが中央にいることでスイッチに対応でき、相手の攻めのスピードを遅らせることができた」
そして攻撃に転じると、コンリーとのピック&ロールからランドルがプレーメーカーとして機能した。この試合でランドルは12アシストを記録しているが、そのうち5つを第4クォーター開始からの5分間に集中させた。
「目の前にあるプレーをシンプルにやるだけで、強引に何かをしないこと。ここ数試合はコーチから『少し強引すぎる』と注意されていた。だからシンプルに、簡単なプレー選択をした」とランドルは言う。
「コンリーとの相性はすごく良いよ。僕らはディフェンスの意図を読む。スイッチするのか、ピックに対して追い掛けてくるのか。どちらにしても相手の動きに対して、僕とコンリーは同じ判断をする。それは反復練習の成果であり、ケミストリーと呼べるものだ」
スパーズはビクター・ウェンバニャマの欠場で高さを欠く状況。フォックスの機動力を前面に押し出す相手にスモールラインナップが効いた。ルディ・ゴベアは第4クォーターに出番はなく、ファウルトラブルでもないのに24分しか出場しなかったし、エドワーズも21-7のランはベンチで見守った。それでもウルブズが彼らを必要としていないわけではなく、この試合では別のラインナップが機能したというだけのこと。
ディビンチェンゾは「これだけボールがよく動けば、全員がアグレッシブにプレーできる。そうなれば良い結果は生まれるものだ」と自信を語る。
ナズ・リードも「多くの選手が絡めば絡むほど、ウチは相手にとって倒しづらいチームになる」と言い、こう続けた。「今日のバスケをもっと安定してやれるようになれば、どのチームにとっても本当に厄介な相手になれるよ」