『手の内を読み合う』プレーオフをどう戦うか
1年前、プレーオフのカンファレンスセミファイナルでペイサーズと対戦したニックスは、2連勝と好スタートを切ったものの、プレータイムをシェアして早い展開を仕掛けてくるペイサーズの戦い方にスタミナ負けしてしまいました。その1年後、再びペイサーズと相対したプレーオフでしたが、やはり早い展開についていけず、層の薄さが響いた形での敗退となりました。
前年の反省が生かせなかったからか、カンファレンスファイナルまで進んだにもかかわらず、ヘッドコーチのトム・シボドーを解任。キングスでオフェンス主体のチームを作ったマイク・ブラウンを新ヘッドコーチに迎え入れるとともに、ジョーダン・クラークソンやガーション・ヤブセレを補強し、選手層にもテコ入れをしました。
昨シーズンのニックスは高いオフェンス力を発揮しましたが、実はこれはスターターを長時間起用していることも関係していました。ジェイレン・ブランソン、ミカル・ブリッジス、ジョシュ・ハート、OG・アヌノビー、カール・アンソニー・タウンズの5人でプレーした時間は940分。2位のウルブズが714分、3位のピストンズで491分と他チームと比較すると極めて長く、主力に依存した戦い方でした。
それだけ健康をキープし、強力なスターターを作り上げたわけですが、手の内を読み合うプレーオフではそれがマイナスに働き、特にペイサーズ戦ではアシスト19.5に対してターンオーバーが15.5とプレーパターンを封じ込まれています。変化を出そうにもシーズン中に準備をしておらず、選手交代で何かが生まれるのを待つしかありませんでした。
新たにチームの指揮を執るブラウンには、単に選手層を厚くするだけでなく、ベンチメンバーの個性も取り入れた新たなプレーパターンを取り入れることが求められます。その結果、失敗するケースが増え、数字の上でオフェンス力が低下したとしても、気にせず継続して取り組むことが大切になります。
ペイサーズがタイリース・ハリバートンを、セルティックスがジェイソン・テイタムを長期離脱で欠く状況は、ニックスにとっては千載一遇のチャンスです。余裕を持ったチーム作りが可能なだけに、目の前の勝負に過度にこだわることなくプレーオフで勝つための準備を進める。それが新シーズンでやるべきことです。