サンダー

主力は全員残留、優勝してもコンセプトは変わらず

レギュラーシーズンで68勝を記録し、プレーオフも盤石の強さで勝ち進んでチャンピオンリングを獲得したサンダー。MVPを総ナメにした27歳のシェイ・ギルジャス・アレクサンダーを中心に、若い選手で構成されたロスターは連覇に挑みます。

オフェンス優勢の時代において異なる道を進んだサンダーは、スティールで10.3とハイプレッシャーでボールを奪う能力に加え、ペイント内失点が42.5とリングに近づくことも許さない強靭さを持ち合わせています。このディフェンスは相手のターンオーバーから21.8点を奪うオフェンスへと連動しています。いずれもリーグトップの数字で、相手チームにとっては対処が難しい武器として今シーズンも猛威を振るうことでしょう。

主力は全員残留しており、穴のないロスターではあるものの、オフが短かったこともあって健康面では不安が出てきます。特に欠場が少なかったシェイとジェイレン・ウィリアムズの両エースのバックアップができるハンドラーは連覇には不可欠な存在で、そこにはルーキーシーズンをケガで棒に振ったニコラ・トピッチに期待がかかります。

トピッチはサンダーでは珍しくパサータイプのポイントガードで、タイミングをずらしたパスや大きな展開でシュートチャンスを作っていくだけに、機能すればオフェンス全体が活性化しそうです。まだまだ3ポイントシュートやフィジカルには課題があるものの、サマーリーグでは読みの鋭さからのスティールで目立っており、バックアップとしては十分にやっていけそうです。

2017-18シーズンにウォリアーズが連覇を達成して以降、NBAを連覇したチームはいません。近年でもサラリーが高騰したナゲッツは選手層が薄くなり、セルティックスはケガにも苦しみました。何より優勝を逃したチームほど、補強には積極的となります。今オフもロケッツが大型補強に動いており、それもサンダーとは全く異なる特徴の選手を集めて対抗しようとしています。

連覇には昨シーズン通りの強さを発揮するだけでは足りず、さらなる進化が求められます。同時にサンダーほど進化してきたチームはありません。大型補強ではなく選手を育て弱点を克服し、戦術の共通意識を高めてチャンピオンリングまでたどり着いたチームだけに、さらなる進化が期待したくなるディフェンディング・チャンピオンです。

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