
「ダラスの素晴らしいところは情熱的なファンが多いこと」
NBAは現地4月15日からポストシーズンがスタートした。今レギュラーシーズンにおける一番の衝撃といえば、ルカ・ドンチッチのマーベリックスからレイカーズへのトレード移籍だろう。NBA史上に残るオールラウンダーで、チームに高い忠誠心を示していたスーパースターを自らすすんで放出したマーベリックスの決断を支持する声はほぼない。
そんな四面楚歌の中、マーベリックスのニコ・ハリソンGMは同日にダラスの地元メディアのみを対象にしたメディア対応を実施。地元メディアに絞ったのは殺到が想定されるメディアを制限する意味で分かるとしても、取材案内が会見前日に届いたことと、録音機器やカメラの持ち込み禁止という環境で行われたことは不可解だ。
ESPNのティム・マクマホン記者によると、ハリソンはドンチッチ放出について「トレードにまったく後悔はない。私の仕事の一部は、今日だけでなく将来にわたってチームを良くしていくことだ。私の下すいくつかの決断は不評なものだが、それが私の仕事だ」と語ったという。
昨シーズン、ハリソンはカイリー・アービング、ダニエル・ギャフォード、PJ・ワシントンをトレードで獲得し、デレック・ライブリー二世をドラフトで指名。的確な補強でファイナル進出をもたらした有能GMと評価する声も多かった。だが今は、試合会場で「ニコを解雇しろ!!」のチャントが起こるほどにマーベリックスファンの憎悪の対象となった。
それでもハリソンは、「ダラスの素晴らしいところは情熱的なファンが多いことだ。私たちの目標に到達するには、このファンベースが必要なんだ」と語る。そして、トレードの結果はすぐには出ないと続ける。
「正直に言って、私がこのチームで行ってきたトレードは最初、すべて良いモノとは思われていなかった。カイリーを獲得したときは懐疑的な目で見られ、ひどいトレードだと評価されたが、ある日突然『素晴らしいトレード』とみんなが言った。ギャフォードとワシントンのときも『あまりに多くを代償として手放した。彼らはチームを助けてくれない』と思われていた。多くのトレードは結果が出るまで少し時間がかかるものだ」
ハリソンの主張通り、ドンチッチ放出が正しかったのかどうかを判断するにはまだ時期尚早だ。ただ、ハリソンが大きな賭けに出たことは間違いない。そして、このままマーベリックスが低迷し、レイカーズが結果を残した場合、ハリソンはNBA最大の愚策を行ったGMとして名を残すことになる。