連敗を5で止めて連勝、佐藤HC「勝つことで自信を取り戻せる部分もあります」
1月27日、川崎ブレイブサンダースはホームで秋田ノーザンハピネッツと対戦。ディフェンスで大きな綻びを見せなかった川崎が序盤から常に先行する展開で80-67と制し、同一カード連勝を飾った。
ともに相手の激しいプレッシャーに苦しみロースコアの立ち上がりとなったが、徐々に強度に慣れていった川崎はトランジションからイージーシュートに繋げていく。一方の秋田は、オープンのシュートを決め切れずに停滞し、第1クォーターで川崎が25-12と先行する。
だが、第2クォーターになると川崎は攻撃の起点である藤井祐眞がファウルトラブルとなり、彼がプレーできない影響もあってか単調なミスが増えていく。さらにチーム全体でもファウルを重ねたことで、秋田にこのクォーターだけで12本のフリースローを献上した。リードが4点に縮まる悪い流れでハーフタイムを迎えた川崎だが、後半の出だしでロスコ・アレンがドライブからバスケット・カウントを決め、藤井の3ポイントシュートによる連続得点ですぐにリードを2桁へと戻す。
それでも、秋田は第3クォーターで9得点を挙げた熊谷航の奮闘によって、残り5分には1点差に迫った。しかし、古川孝敏、赤穂雷太を欠く秋田は、さらに得点源であるタナー・ライスナーも負傷により、後半はプレーしなかったことでオフェンスはジリ貧になっていった。こうして、再び突き放した川崎が第4クォーターは余裕を持って逃げ切った。
2024年に入ってからリーグ戦は5連敗中だった川崎にとって、同一カード連勝は大きな価値を持つ。佐藤賢次ヘッドコーチも「連敗が続いていたので勝つことで自信を取り戻せる部分もあります。しっかり準備してきたことを発揮して勝ちに繋げられたのは良かったです」と、勝利がもたらすポシティブな影響を語る。
ファジーカス不在という大きな穴を埋めるためにはチーム全員のステップアップが欠かせない。その中で、ここ最近プレータイムを増やしているのが増田啓介だ。開幕から出場機会にムラがあった増田だが、前節の仙台89ERS戦から4試合連続で15分以上のプレータイムを記録している。この試合は18分6秒出場で、味方との息の合った連携でゴール下にダイブしてシュートを決めて6得点をマーク。また、194cmのサイズを生かした守備でも貢献し、見事な繋ぎの役割を果たした。
コーチ陣の助言「今ここで我慢することで、最後に高く飛べて最高の終わり方ができる」
「連敗が続いていたので2連勝できてうれしいです。特に接戦で負けることが多かったので、勝ちたい気持ちが強くなっていました」。このように連敗ストップについて語る増田だが、個人で見ると、ファジーカス不在の今は、コーチ陣に対して自身の評価を高めるチャンスでもある。「そういった気持ちが、ゼロかと言われればゼロではないです」と語るが、あくまでチームのために何ができるのかにフォーカスしていると強調する。
「自分云々というところよりはチームファーストを大切に、この状況でも勝ちたい気持ちをコートに出すことを意識していました」
そして、ここからの巻き返しに向け、次のように意気込んでいる。「試合によっていろいろな戦術、作戦があるので、それにしっかり適応していく。選手一人ひとりの強みを出して、ボールが止まらない川崎らしいバスケットをしていきたいと思います」
秋田が万全とは程遠い状況だったとはいえ、連敗を止めての連勝は意味が大きい。だが、膝の負傷で離脱中の大黒柱ニック・ファジーカスの復帰までまだ時間がかかる中、佐藤ヘッドコーチはプレーの質については厳しい表情を崩さない。
「ニックがいなくなってからチーム全員で1つの勝ちをつかむことに取り組んでいますが、まだまだ全員がそこにコミットして乗り切れていないです。試合後のミーティングでも浮かれている選手はいません。実際、古川選手がいない、ライスナー選手も後半は出てこなかった中での連勝で、真価が問われるのはこれからだと思っています」
実際に、指揮官は次のようにチームの現状についても厳しい評価を下す。「一人ひとりが責任を持ち、コートに立った時間に練習でやったこと、チームでやろうと決めたことをどれだけ徹底できるのか。ニックがいた時はニックに任せてという時間帯はありましたが、今はそういう時間帯がなく、どれだけチームでやりきれるかが問われます。そこへの本気の姿勢であり、強い覚悟がチーム全体で芽生えてきて練習を雰囲気良くやれていますが、試合になると繋がっていない選手がいます。それがコンディション、スキル、意識のどの問題なのかしっかり精査して向き合っていかないといけない。そこは全員、同じレベルではないと思います」
佐藤ヘッドコーチのコメントが示すように、今の川崎は我慢が必要な苦しい時期が続いている。だが、増田はチームの課題に真摯に向き合っており、そこにはコーチ陣の次の言葉の影響もある。「練習でジェフ(勝久ジェフリー)さんや木下(博之)さんが『ジャンプをする時はかがむ。今のチームはその状態で、かがまないと上には飛べない。今ここで我慢することで最後に高く飛べて最高の終わり方ができる』と言ってくれています。今はそういう時期だと思って取り組んでいます」
ファジーカス不在の今の時期にこれ以上の勝率ダウンを避けることができれば、シーズン後半戦は必ず浮上のチャンスが来るはずだ。その時により高く飛び上がるためにも、増田を含めた若手選手にはさらなるステップアップが求められる。
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