「2人の守れない、俺様な選手を抱えることはできない」と昨季途中のボーンズ・ハイランドの放出についても言及

ナゲッツのカルビン・ブースは、2020年にアシスタントから昇格する形でナゲッツのゼネラルマネジャーに就任。ドラフト指名した生え抜きをチームの中心とし、フリーエージェントで適材適所のベテランを補強する見事な手腕でチームをNBA王者へと導いた。

現役時代は7チームを渡り歩くジャーニーマンのセンターだったが、今やNBAを代表する敏腕フロントという評価を勝ち得たブースは、『The Ringer』の取材に応じ、チーム編成で何を重視しているかについて語っている。

ブースが選手獲得の際にまず注目するのは、バスケットボールIQ、人柄、ポジションにあったサイズ、スキルの欠陥がないという4点。この中で少なくとも3つ、理想は4つ揃った選手がターゲットになるという。

また、同じタイプの選手を抱えないことも、彼のチーム作りにおける大事な哲学だ。ブースは「同タイプの選手を揃えるのは、サイレントキラーだ(自覚症状のないまま事態が悪化してしまう)」と語り、その悪い例としてクリス・ポール、ブレイク・グリフィンを擁しながらプレーオフで早期敗退を繰り返した2010年代前半のクリッパーズを挙げる。

ブースは当時のクリッパーズについて、インサイドのグリフィンとディアンドレ・ジョーダンは豪快なダンクを次々と叩き込み、『ロブシティ』と呼ばれたチームの特徴に一役買ったが、ともにスペースを広げる能力とペリメーターのディフェンスに欠けていたと指摘。ガードのポールとJJ・レディックについても、ともに十分なスキルは備えていたが、それぞれのポジションにおいてはサイズが小さかったと話している。

このような考えからブースは、昨シーズン途中のボーンズ・ハイランドのトレードも簡単なことだったと明かす。

当時、ハイランドはベンチから貴重な得点源として活躍していた。本人がプレータイムを求め移籍を志願していたとしても、2つのドラフト2巡指名権のみでクリッパーズに放出したことは世間に少なくない衝撃を与えたが、前述の『同タイプの選手を揃えない』という哲学があるブースにとっては想定内だった。

ブースは、マイケル・ポーターJrの存在がハイランドの放出をさらに簡単にしたと振り返る。「守備が得意ではない、『俺様タイプ』の若い選手を2人抱えることはできないとわかっていた。マイク(ポーターJr.)には3000万ドルを払っているが、彼はNBA屈指のシューターだ。だからボーンズの居場所はなかった」

今オフのナゲッツにとって大きな喪失は、シックスマンとして活躍したブルース・ブラウンの移籍だ。ブラウンの穴埋めにベテランを補強する選択肢もあったが、ブースは若手にチャンスを与えることを選択した。2年目のクリスチャン・ブラウンと共に、ブースが大きな期待を寄せているのが同じく2年目のペイトン・ワトソンだ。

昨シーズン、ローテーション入りしプレーオフでも爪痕を残したブラウンと違い、ワトソンは出場機会がほとんどなかった。しかし、ブースはワトソンについてこう語る。「(ブラウンと比べ)ペイトンはよりサイズがあり、リーチも長く、身体能力も高い。彼はより守れるし、パスもうまい。彼には経験がないし、またオフェンスは良くない。ただ、私たちはオフェンスよりもディフェンス面での貢献を必要としている」

若手のステップアップに賭けたブースの選択が再び成功した時、ナゲッツのリーグ連覇の可能性がより高まることは間違いない。